フィギュアスケートを外野から楽しむ&応援するための会


by carthaginois

荒川静香の挑戦、“トゥーランドット”変貌のドラマ再び①

トリノ・オリンピックを前に、安藤美姫選手がフリーの音楽を「蝶々夫人」に変えてきたが、荒川静香選手も、今シーズン滑ってきたショパンの幻想即興曲(オーケストラ版)から、「トゥーランドット姫」に変えてきた。4シーズン前、そして世界選手権で優勝した2シーズン前と同じ曲。今回の振り付けは2シーズン前と同じニコライ・モロゾフ。勝負に出てきた。                   


2シーズン前の衝撃。04年、ドルトムント(ドイツ)での世界選手権の荒川選手は、まさに怪気炎を上げていた。
03―04年シーズンは、前シーズンの好調さを維持し、国際大会では必ず表彰台に上がりコンスタントに好成績を残してきていたが、スケート・アメリカ3位、スケート・カナダ2位、フランス大会2位、グランプリ・ファイナル3位、そして全日本国内選手権は3位と、優勝は皆無であっただけに、世界中の関係者はもちろんのこと、彼女の昔からの熱烈なファンの間でも、世界フィギュアでの優勝を予想出来た人は、恐らく数少なかったことと思われる。どちらかというとファイナルで日本人初優勝を飾った村主選手の方が、もしかすると優勝するかもしれないと期待されていた感じだったように思う。                                            大会1ヶ月程前に、それまでうまく機能していたように見えるキャラハンコーチとのコンビから、タラソワコーチに突然変えたことを不安視する声もあった。2組に分かれる予選がA組と、クワン、スルツカヤ(その時は病み上がりで準備万全ではなかったが)、村主など強豪がひしめく組になってしまったことも不安材料であった。しかし蓋を開けて見れば、予選で、並み居るビッグネームを抑えいきなりA組トップに立ち、ファンを驚嘆させた。                                       何よりも驚かされたのが、その演技面での飛躍的な進化。そしてその漲る自信とすさまじい気迫。予選の冒頭の連続ジャンプが出だし、2回転になってしまったが、すかさず3回転をつなげ、2―3回転。そして続くジャンプで3-3回転。中盤のジャンプでも2回転ループをつなげ、ジャンプはほぼ成功。圧巻はクライマックスのロング・イナ・バウアー。観客のスタンディング・オーベーションを受け、フリー本番に期待を抱かせる最高のスタート。続く「白鳥の湖」(モダンバージョン)によるショートでも3-3ジャンプに果敢に挑み、表現面でさらに華麗さを増し、2位に食い込み、この時点で総合2位。初の世界フィギュアでのメダル・ゲットが実現濃厚になってきた。しかし金メダルには、コーエンの厚い壁があった。                   

このシーズン、荒川選手はコーエン選手と少なからぬ因縁があった。荒川選手は参加する国際大会がすべてコーエン選手と重なった。世界フィギュアまでにたしか5回ほど対戦し、荒川選手がコーエン選手を上回ったのは、1回(アメリカで行われたフリー演技だけの大会、優勝はクワン選手で荒川選手は2位だった)だけで、その時はコーエン選手が絶不調だった。グランプリ・ファイナルでもコーエン選手はジャンプの調子が悪く、何回も転倒したが、クリーンなフリー演技を披露した荒川選手は、コーエン選手を上回ることが出来なかった。そのコーエン選手がグランプリ・ファイナルを境に、タラソワコーチとのコンビを解消、そしてその結果荒川選手がタラソワコーチにつくことにつながり、荒川選手は表現面で飛躍的な進化を遂げることになるのだが、コーエン選手は、サラ・ヒューズのコーチとして有名なワーグナーコーチにつき、フリーの演技内容も変更してくる。そのコーエン選手が世界フィギュア予選B組でダントツのトップ。ショート・プログラムでは「マラゲーニャ」で圧倒的なカリスマ演技を示し、トップを勝取り、コーエン選手の念願の初優勝はまず間違いないと思われた。                                                                                             すべてが決まるフリー演技最終グループは、荒川選手が1番最初、続いてセバスチャン選手、コーエン選手が3番目、そして総合4位と出遅れたクワン選手が4番目、3位とメダルを狙える位置の安藤選手が5番目、最後がコストナー選手という順番だった。 
[PR]
by carthaginois | 2006-02-04 18:19 | オリンピック