フィギュアスケートを外野から楽しむ&応援するための会


by carthaginois

カテゴリ:オリンピック( 14 )

オリンピックだと、普段全く見ないような競技でも見て見ようなんて気がおこり、そこから発見につながるということも多々あると思うのですが、女子柔道や女子レスリングなど、いつもは全く見ないような格闘技なども、オリンピックだとつい見て、そういえばこんな人いたなぁなんて思ったり、シンクロナイズド・スイミングなど、見るたびに良いなって楽しみながらも、「なんで水の中で苦しいおもいしてこんなことしなきゃあかんの?」って気が遠くなる思いをしたりするのですが、北京オリンピックを見ていて今回、個人的にはまったのが、卓球。この競技、今回初めてそれと意識して見ました。

それには福原愛選手というスター選手の存在が大きかったのですが、愛ちゃんがラリーに勝つたびに「サ--ー!」って(最初サーって言ってるのが聞き取れなかったので)愛ちゃんはいったい何て言っているの?それどういう意味なんだろう?とか、ウヮぁ~平野早矢香選手の強烈ビシバシ睨みビィームに対する韓国選手のぶつぶつ呪文合戦すごーとか、出ました福岡春菜選手の必殺秘伝の王子サーブとか、異国の地に足を踏み入れてしまったな、ワンダーランドやなぁ~てな感じで、ビギナーには目新しくて激的面白かったです。
特に女子団体の3位決定トーナメント、格上と位置づけられる香港戦で、土壇場に追い込まれてからの逆転につぐ逆転の連続で、制したときの、福原選手、平野選手、福岡選手、出場選手3人が3人手に手をとりあって肩をたたきあって、涙ながらに達成感ある悦びに共にひたっている映像が、とても印象的でした。次の韓国戦に敗れてメダルには残念ながら手が届かなかったけれど、メダルと同じぐらい、いやもしかするとそれ以上になにか価値あるものが、そこにはあったような気がしました。

今日(9月6日)からは、北京の同じ会場で今度はパラリンピックが始まるそうですが、参加する選手の方々のご健闘を………………………加油!!!

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フィギュアスケートを意識して初めて見たのは、私にとっては、1988年のカルガリーでの冬季オリンピックで、その中心に伊藤みどりさんの存在が。その元気溌剌としてスケートを滑る姿、迫力のジャンプの連続、そしてあのガッツポーズは記憶に鮮烈に刻み付けられました。初めて見たフィギュアスケートで、リアルタイムで伊藤さんの、会場総立ちのフリー演技に出会えたのいうのは、とても幸せなことだなぁと思います。20年たってますが、この演技を見るたびに今でも気持ちが高揚し、呆気にとられ見とれてしまう。この競技を見たことなかったものでも、その世界にひっぱりこむあふれんばかりのパワーが漲っていて、氷上に小さな太陽が出現したよう。
これを書いていて、そうだった、私は最初フィギュアスケート自体のファンだったわけではなくて、伊藤さんのファンからはじまったんだと懐かしく思い出しました。


Midori Ito 1988 Calgary Olympic LP


あの最初のトリプル・ルッツ、まるで空間に山を描くかのように跳んでいて、その高さに驚き。これでもかこれでもかと次々ジャンプが成功するたびに、観客席がどよめくのもなんともエキサイティング。亜米利加の解説陣トリオもチョー盛り上がってるようです。

このときは、ショート、フリーのまえに規定審査というものがあって、伊藤さんは規定を大の苦手としていたらしいので、その影響大きく(規定10位)、ショートは4位、フリーだけなら3位だけど、総合ではメダル圏外の5位という成績。でも実際彼女の演技を見たら、同国人の贔屓目からかもしれませんが、彼女は間違いなくメダルだ!っというか、メダル獲ったよ!って気にさせられませんか?世界中の人人にこんなに愛されて…

カルガリーでのこのときの伊藤さんの演技は、フィギュア王国ニッポンの黎明期に打ち立てられた、記念碑的な演技に思えます。その余波が今に脈々とつながっているんでしょうね。女子フィギュアスケートの革命児となった伊藤さんが五輪デビューを飾って世界を熱狂させた、カナダの地でのオリンピックで、今度は彼女の一番の直系の子孫ともいうべき、フィギュアの新たな革命児である浅田真央選手がデビューするというのも、何か因縁を感じます。

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そしてカルガリー・オリンピックといえば、2連覇を達成したこの人を忘れてはいけませんね。女王カタリナ・ヴィット。
たくさんのスケーターが「カルメン」を使用して滑っていて、それぞれ良さはあると思うのですが、カルメンというと真っ先に思い浮かぶのは、やはりヴィットさまのカルメン。技術的に見たら20年前ということもあって全然レベルが違うなぁっということは素人にも分かるのですが、そのファムファタールぶりが、妖艶な雰囲気もなまめかしく、妖しく咲き誇る悪の華というようなキャラクター造型が見事はまっています。芸術面だけ見たらいまだにカルメンで女王ヴィットを凌駕する演技はないなって思わせる、強烈なイメージ力、壮絶な美をもった演技ですね。

ラストの氷の上に横たわるエンディング・ポーズも好きだけど、、華麗で重厚なオープニングが格別。あの表情、あの視線、それからコンビネーション・ジャンプにはいるまでのスリリングな戦慄。ビリビリビリビリ磁気を放っていて強く惹きつけられます。
ただ、技をぎっしりつめこまなければ点数をかせげない新採点システムのもとでは、このように演劇的趣向がたっぷり贅沢にほどこされた演技というのは、競技会ではもう見ることはできないんだろうなぁと……昔はのどかだったなぁ~なんてちょっと懐かしく思えたりもします。


Katarina Witt 1988 Calgary Olympic LP

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by carthaginois | 2008-09-06 00:27 | オリンピック
今日北京オリンピックが閉会しました。

今回2週間ちかくの間いろいろ競技を見ていて、オリンピックって、一つの巨大な"人間讃歌"なんだなぁって思いました。

それぞれの競技の短い一瞬一瞬に、さまざまな国のいろいろな選手たちの人生ドラマがギュっと凝縮されている。素晴らしいなぁと思いました。

お祭りの後は、ちょっとさびしい気分……


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by carthaginois | 2008-08-24 22:22 | オリンピック

続・第三の女

NHKのBS2で放送された『WATARIDORI』という映画を見ました。

世界中に生息する渡り鳥たちの姿を、鳥たちに寄り添うような視点で、淡々と、しかしスケール大きく記録したドキュメンタリームービーなのですが、その美しい映像に強くひきこまれ、見てほんまよかったなぁ、また見てみたいなぁ思いました。




この映画には主たるストーリーらしきものがない。過剰な演出というものもない。型に嵌った人為的解釈というものもない。鳥たちの生態をあるがままに提示しようとしている製作者たちの真摯な姿勢、そして熱い情熱が読み取れるのですが、そこにこの地球上に生を受け生きるもの、他者に対する共感が感じられ、バタバタ(batabata) or パタパタ(patapata) と、翼を一心不乱にはばたかせ、ひたすら目的地に向かって、海越え山越え、野原に砂漠も越え、群れをなし旅し続ける鳥たちの神秘、なんともいえない不思議、驚異が、ジーーーーーーーーーンと静かな感動の波となってストレートにおしよせてくる、そんな映画でした。

この映画を見ている間、浅田真央選手の演技している姿が何回か目の前に浮かんできました。
この前の世界選手権でのショート・プログラムの最後のステップのところ。鳥が飛翔するイメージのポーズ。生きている鳥の姿が一瞬垣間見えた。あそこには真実な決定的な何かがあると感じられた。あの地点からビームみたいな特別な光線が発信されたような…世界が一つに繋がったような…。彼女の演技にも、人智を超えた神秘、不思議、驚異が強く感じられる。

ちょっとファンの贔屓目からかもしれませんが、彼女は特別、他の選手たちとは全然違うなという感じを受けています。とってもヴェイリーVeryオリジナル。。。

前回のわたしの投稿で、最近のオリンピックの女子フィギュアの傾向を見ていて、金メダル候補が実際金メダルをとるのは重圧その他もろもろでとても難しいこと、ちょっとだけ精神的に身軽な〝第3の女″のポジションがおいしい、バンクーバーでは新鋭勢いのある長洲選手あたりが有利なのでは?なんて大風呂敷を広げてみましたが、一方、現時点優勝候補筆頭の浅田選手は、念願金メダルに寸前手が届かなかったクワン選手やスルツカヤ選手のようにはならない、彼女は特別、彼女は乗り越える、彼女はきっとやる、というような全く根拠のない実感がつきまとうのも、浅田選手が持っている巨大さ、それは目には見えない、まだまだ充分に真価を発揮していないように思える巨大さ、全くオリジナルな彼女の内部に存在している、その圧倒的なまでのマジカルなパワーがなせるわざなのでしょうか?

人を驚嘆させ熱中させるだけの力、というのはとても価値ある力だと思う。これはちょっと受け売りっぽいんですが、いろいろな人が、生きている上でもっているさまざまな悩みや苦しみや怒り、それらに囚われている現実世界をしばし忘れさせ、たとえ一時であれ別世界別天地へと連れ去り遊ばせるというのは、それはそれはすごいことだと思う。演技が素晴らしいものであれば素晴らしいだけ、美しければ美しいだけ熱中度も高く、また演技を見る人が多ければ多いだけ、癒される魂の数も多い、成し遂げられる意義も大きい、そういうヒューマンな一面も多聞にあると思う。

またたとえ結果がどのようなものになったとしても、人のために何か善いことをやろうという意志、少なくともそのことは伝わるし、その意志が何よりも尊いOTAKARAとも思う。だから…
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by carthaginois | 2008-06-03 00:18 | オリンピック

第三の女

先月のジャパン・オープンで北米チームの一員として初参加した長洲未来選手。
1993年4月16日生まれ、ということで15歳になったばかり。来シーズンからいよいよシニアの国際試合に鳴り物入りで登場、ということで活躍が期待されているけど、長洲選手をはじめとして、キャロライン・ジャン選手、レイチェル・フラット選手などが形成するアメリカの新世代勢力の動きが、これからオリンピックまでの2シーズン、一つ大きな鍵となるのかなぁと、全くこれからどこまで伸びるか未知数なだけに、恐ろしくも、楽しみにも思えたりします。

これはまったくの私見、偏見、妄想によりますが、その資質からして、今の段階で、アメリカの代表として出場するであろう長洲未来選手が、バンクーバー・オリンピックの金メダルに一番表彰台の中央に近い選手に思えることもあります。その若さと勢いと新鮮さで一気にパーーーっと獲ってしまうことも大いにありうるかなぁと…

現在、実力で東の横綱、西の横綱、2人飛びぬけているのは、誰もが認めるとおり浅田真央選手と隣国キム・ヨナ選手の両横綱で、この番付はバンクーバーまでおそらく変わらないだろうとは思うのですが、ここ最近のオリンピックを見ていると、一般に広く流布している予想での優勝候補というものが、そのまま結果にまっすぐつながっていない。実際に優勝したのは、下馬評での本命馬、または対抗馬でもなく、まさか優勝とはそれほど思われていなかった、〝第三の女"がヌっと横から出現して、とんびが油揚げさらっていく方式で、痛快にかっさらっていくというケースが、ソルトレーク・シティー、トリノと2大会続いている。

素人が勝手に想像するに、オリンピックで選手にかかる重圧というのは、想像をはるかにはるかに絶するものに違いないと、一般人よりずっとずーっと強靭な身体と精神を持っているであろう選手個人が、内面にもっているであろう強い思い強い意志というものも、全く別のものに変換させて、粉々に砕いてしまうほどに、世間の漠とした大きな期待や利害の渦の奔流に飲み込まれてしまい、迷い子となり、我が往くべき目的地を見失ってしまうということも多々あるのかなぁと…。

思い出されるのは伊藤みどり選手。
初出場した1998年カリガリー・オリンピックでの溌剌とした伊藤みどり選手の演技。世界中の多くの人の前で、オリンピックの場で、自分の演技を見てもらえるのが嬉しくて嬉しくてたまらないという感じで、プレッシャーなど無縁という感じだった。そんな伊藤選手でも、優勝候補で迎えた4年後のアルベールビルでは、過剰なまでの日本国民の期待の重圧を一身に背負い、別人のようだった。カルガリーで見せた生き生きとした伊藤選手の姿は、フリーの後半で2度目のトリプル・アクセルに挑戦し見事成功させ、急に生き返ったようになるまで、それまではずーっと見られなかった。

それからミシェル・クワン選手もソルトレークで、イリーナ・スルツカヤ選手はトリノでと、経験と実績を重ね、開催地の有利もあって大本命で迎えた大会ではそれぞれ、ベストな演技どころか本人比であまりよくない出来の演技しか示すことができなかった。

マスコミの過熱ぶり、オリンピックでは、普段フィギュアスケートを全く見ないような人たちも見て応援する。国民すべての期待を選手たちがそれぞれ背負うことになる。優勝候補であればあるだけ、獲得したビッグタイトルが多ければ多いほど、それだけ期待も大きく、背負う負荷が、嵌められる足かせがとてつもなく重くなり、他の選手たちと同じスタート地点からの出発とはいかないのではないかと…。だから実績面では絶対的有利でも、実はとても不利な状況で競技に立ち向かわなくてはいけないのではと…、世界フィギュアでは克服できる範囲内でも、オリンピックではプラス面をマイナス面がはるかに凌駕し、それが選手をがんじがらめにしてしまい、本来持てる力を出し切れずに終わってしまうという面があるのではないかと…

なのでオリンピックに限っては、優勝候補のトップ2選手に比べればちょっと精神的に身軽な〝第三の女"が実は一番おいしいスタンスなのかもしれないと…。一般の予想とは違って、〝第三の女"が実は本当の本命かもしれないと…。そういえばこの2大会のオリンピックチャンピオン、偶然にもそのシーズン国内大会が3位。まさに〝第三の女"!。

それに”第三の女”の活躍は、根源的に一般大衆に強く求められているということもあると。
例えば大相撲(夏場所開催中、刈屋アナウンサーつながりもありということで、大相撲!)…この2年朝青龍関と白鵬関の優勝完全独占状態で、相撲ファンは、柱である優勝レースに関してはあきらめムード、日本国民飢餓状態に陥っているように思える。目新しい展開、ニュー・ヒーローの登場、〝第三の男″を一般大衆は渇望していて、琴欧洲関でも稀勢の里関でも豪栄道関でも誰でもいいから誰か別の力士が、次優勝した時にはきっと座布団のトルネード、大大フィーバーがまき起こる土壌が、もうカラカラに干上がっている。

〝第三の女"の存在が世界を潤し、世界をより面白くする。
人の性向として、上昇するものに強く惹きつけられるってこともあるかもしれない。
安藤選手がそうなるかもしれない、コストナー選手かもしれないし、他の誰かかもしれない…。長洲選手もそんな〝第三の女"の最有力候補の一人やないかと、そない思いますた。まぁ先のことはどうなるのやら全く分からないですが…「一寸先は闇」ならず、「一寸先を光!」としていきたい…ですね。
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by carthaginois | 2008-05-15 00:56 | オリンピック
NHK杯の期間中、それと前後して、フィギュアスケーターの姿を追った2つのドキュメンタリー番組がNHKで放送されたので、興味深く見ました。

一つは、衛星放送第1のドキュメント「スポーツ大陸」の枠内で放送された、「スポーツ史の一瞬 三回転半銀盤を舞う~フィギュアスケート伊藤みどり~」というドキュメンタリー。
NHKスポーツ大陸サイト

(番組サイトより)

一つは、アジア太平洋放送連合(ABU)が選ぶABU賞なる賞を受賞をした「NHKスペシャル 荒川静香 金メダルへの道」の再放送。
NHKスペシャルサイト

(番組サイトより)

この日本スケート史上偉大な2人のスケーターの姿に共通して思うことは、チャンピオンの演技というものには、その強さ、凄さ、驚き、美しさ、輝きには、有無を言わさぬ、抗することのできない、時代を超えてなお、光となって発散する強烈な何かがあるんだな…ということ。

だけどこの瞬間放たれる光は、それを生み出すまでに、その背後に巨大で深い陰影があるからこそ、その輝きはこんなに眩しくて貴重で価値あるものになり、とてつもなく大きな感動を生み出すことが出来るのだと……そしてファンファーレ鳴り響き華々しく歴史の1ページに刻まれた成果もさることながら、そこへと至る長い長ーーー(略)ーーーい過程の中で、その瞬間瞬間に泡となって闇へと消え去っていくさまざまな軌跡にも、たとえ表面に見えてくる形が時に不完全であろうとも、いやむしろ不完全であるがゆえに、、そこには崇高でかけがえのない“美”があるんだなぁ……そのようなことをこの2つのドキュメンタリーを見た後、つらつら思ったりしました。

また、世界中の多くの金メダル候補、自らも金メダルを獲りたいと公言し、周囲からも獲れるだろうと予想されてきた多くのスケーターたちが(年齢を重ねればかさねるほど)、キャリアを積んだ百戦錬磨のスケーターたちが(キャリアを積めばつむほどに)、オリンピックという一番大事な舞台では、通常どおりの演技が出来ない、持っている力を出し切れないことが多いという現実があるのだけれども、この日本人メダリスト2人の、オリンピックに臨んだ際の全く対照的な姿勢、マスメディアを通してうかがい知ることが出来るオリンピック期間中の過ごし方、特にその精神のありようについては……もちろんシチュエーションがみな全く違うので、一概に並列して言うのはフェアでないかもしれませんが……後続の選手たちにとって、両者が経験したことは、大いに参考にし学ぶところがある先例なんだろうな、、と考えたりもしました。

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NHKでは、来年の平成20年2月24日に衛星放送で「BSあなたが選ぶスポーツ名場面100選」という番組を放送するそうで、現在サイト上で視聴者の投票を募集(1月末日まで)していて、リストから5つまで選んで投票できるようになってます。フィギュアスケートからもいくつかのシーンが候補としてリスト・アップされていますが、その中から、どのシーンが、何位くらいでベスト100入りするだろか?私も投票して見ようと思います。皆さんも是非ぜひ!!!
BSあなたが選ぶスポーツ名場面100選
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by carthaginois | 2007-12-04 00:37 | オリンピック
荒川静香選手は、開会式でパヴァロッティが、プッチーニのオペラ「トゥーランドット姫」の中のアリア「誰も寝てはならぬ」を歌ったと知って、なにか運命みたいなものを感じたと言っていたが、今回のフリーの競技が始まった時、あれっ!と思った。 
 フリー最初の滑走者、地元イタリアのシルヴィア・フォンタナ選手のプログラム音楽が、荒川選手と全く同じ、ヴァネッサ・メイのヴァイオリンによる「トゥーランドット」であったのだ。思えば、荒川選手が世界選手権で優勝した際、最終滑走者のカロリーナ・コストナー選手(こちらもイタリア人)が、やはり同じ「トゥーランドット」を一部使用していた。今回、最初に登場したファンタナ選手が「トゥーランドット」で滑っているのを見て、荒川選手にとって、なんだか良い吉兆のように感じられたのでしたが、果たして、その前触れみたいなものは、その4時間近く後、素晴らしい、素晴らしすぎる形を伴って、現実に現われでたのでした。                                                                                  
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
荒川選手、オリンピック、金メダル、おめでとう !!!                                                                                                                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                      透明な風に乗って、夢の中の桃源郷にさ迷い出たような、芳香が匂い立つ、美しい演技だった。2年前のドラマチックで激しいトゥーランドット姫とはまた違った、成熟した魅力、より磨かれた大きな華があった。すごいことだと思う。新採点システムに合わせて、高難度の技を次から次へと織り込みながらも、一つの作品として、荒川選手の演技には、ゆったりとした時間が流れていた。まるで雲間で天女が舞っているよう…。まったく自然、且つ美しい。                                                強力なライバルのスルツカヤ選手やコーエン選手が、その重圧からか、普段の演技からは考えられないほど堅くなって転倒もしてしまい、本来の演技が出来なかった中、荒川選手は、自分の演技をしっかりと見せ、観客を(そしておそらく審査員も)魅了した。そしてその結果の金メダル。自分の滑りをひたすら追い求め、深めていき、そしてオリンピックという最高の舞台で、堂々と、麗しく演じきった。同じ日本人として誇りに思います。                                                                        良い演技を見せ4位と健闘した村主章枝選手も、四回転に挑戦した15位だった安藤美姫選手も、お疲れ様でした。驚きと、大きな感動、最高の贈り物をありがとう!私たちは、このオリンピックをきっと忘れないでしょう…                                                                                                     
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by carthaginois | 2006-02-24 08:45 | オリンピック
1位サーシャ・コーエン選手が66.73、2位イリーナ・スルツカヤ選手が66.70、3位荒川静香選手が66.02…コーエン選手と荒川選手の点差は僅か0.71と、上位3人はほぼ横1線に並ぶ展開。トリノオリンピック、フィギュアスケート女子シングルは、コーエン選手&スルツカヤ選手&荒川選手三つ巴による、凄い接戦の、激しい競い合いが実現した。二日後のフリーは、誰が頂点に立つか分らない、逆転も大いにありうる、まことに面白い戦いとなった。                                                                  
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 暗くどんよりとした灰色の曇り空も、一瞬にして晴らしてしまうような、そんな光輝くパワフルな演技だった。美しかった。凄まじく美しかった。彼女が、喜び満ち溢れた素晴らしい笑顔で演技を終えた瞬間、こちらも感極まって、ヤッターと思わず目の前のテーブルを手で何回もバンバン叩いて、それから、よくぞやってくれたと感動で思わず涙が出そうになった。ワールド優勝以来、皆が待ち望んでいた彼女が、世界の舞台で、それもこの大舞台で、ようやく戻ってきた。さらに華やかに、さらに美しくスケール・アップして戻ってきた。荒川選手が金字塔を打ち立てた。そんなショート・プログラムの演技だった。                                                                                           
                                                              コーエン選手は1位も納得の、めりはりの効いた彼女らしい、パワフルな演技で、スルツカヤ選手ものびのび貫禄の演技で、それぞれ1位2位を占めた。村主選手もノーミスで滑りきり、4位と好位置につけた。2番目と早い滑走順だったマイスナー選手が、3回転3回転を決め、技術点で高得点を獲得して5位。 安藤選手は本調子でなかった。8位という順位。安藤選手に比べ、彼女の前後に滑った、グルジアの無名選手や、ヒューズ選手は良かった。それぞれ6位、7位。今大会ダーク・ホース的存在、地元のバックアップをうけ強力なメダル候補だったコストナー選手は、コンビネーションで転倒、11位と予想外に出遅れた。
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by carthaginois | 2006-02-22 08:40 | オリンピック
ペア、男子シングルに続き、アイスダンスの競技が終了した。ここでも本命のタチアナ・ナフカ&ロマン・コストマロフ組がそのまま優勝。やはりチャンピオンは、ここぞの時に、大きなミスもせず、持ち味を十分発揮して、強い。フリーダンス「カルメン」は、見応えあった。2位は、スピード感がありいきが良かった、アメリカのタニス・ベルビン&ベンジャミン・アゴスト組、3位はエキゾチックなくねくね振付が印象的だった、ウクライナのエレーナ・グルシナ&ルスラン・ゴンチャロフ組に落ち着いた。日本から出場の渡辺心、木戸章之組は15位、この順位はこれまでのオリンピックでのダンス日本ペア最高位だそうだ。                                                                                               前日のオリジナル・ダンスでは、演技終了直前で、もったいない転倒で、順位を上位から落とす組が幾組かあって、演技が終わった直後やキスクラでの表情が、なんとも痛々しかったが、カナダのマリーフランス・デュブリュイル、パトリス・ローゾン組が、オリジナルでの転倒で、女性が体を強打し、演技が出来る状態でなくフリーを棄権してしまったのが、とても残念だ。NHK杯優勝時や、東京グランプリ・ファイナル銅メダルの時に見せた、映画「ある日どこかで」のサントラによる、デビッド・ウィルソン振付によるプログラムのしっとりと美しい演技が素晴らしかっただけに…

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今のところロシア勢が金メダルを独占している。残る競技は女子シングルのみ。ロシア勢としては、大本命スルツカヤ優勝で、フィギュアスケートのロシア完全制覇といきたいところだろうけど、それだと面白くない。最後は金メダルも含めたひと波乱、ふた波乱を望みたいところ。(出来れば日本人選手の誰かが、誰でもいいから台風の目となってくれたら最高に面白くなるのだけど…) しかし、何度も大舞台での大勝負を経験してきて、前回のオリンピックのようにほんの僅差で銀に終わり悔し涙を流したこともある、また自らの病その他で競技を離れ、そこから復活を果たしたスルツカヤは、今、はがねの強さを持っている。その壁は厚い。                                                                       そしてアメリカのサーシャ・コーエンは、誰もがその実力は認め、いつ優勝してもおかしくないと思われているものの、世界選手権クラス以上の一番大事な試合で、パーフェクト演技が出来ず、ビッグタイトルを手にするチャンスを今まで逃してきた。彼女も、このシーズン、いよいよ頂点に立ちたいという思いは強いはず。                                                                                                 また地元イタリアのカロリーナ・コストーナーは、ジャンプ、スピード等、強力な武器をもち、また地元の強力なバックアップがあるだけに、開けてみなければ順位の読めないダークホース的存在。 これらのライバルたちを相手に、日本勢がどれだけ自分の満足いく演技をして、さらに審査員からの点数も獲得し、上位に食い込むことが出来るか。今夜、いよいよショート・プログラムが行われる。大、大、大、期待したい!!!                                  主要選手の滑走順は以下のとおり。                                            
第一滑走:  2番マイスナー(米)、3番ポイキオ(フィンランド)、5番ロシェット(加)         第二滑走: 11番ソコロワ(露)                                        第三滑走: 14番安藤 (日)、 15番ヒューズ(米)、16番セバスチャン(ハンガリー)      第四滑走: 18番スルツカヤ(露)、21番荒川 (日)                           最終滑走: 26番リアシェンコ(ウクライナ)、27番村主(日)、28番コストナー(伊)、29番コーエン(米)                                                      なお、出場予定だったロシアのビクトリア・ヴォルチコワ選手は棄権したそうだ。                                              
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by carthaginois | 2006-02-21 14:37 | オリンピック
やはりオリンピック最終滑走の重圧は重かったのか、高橋大輔選手はショート5位と好位置につけていたが、臨んだフリーは9位、総合では8位という結果に終わった。まだ世界選手権でベスト10に入ったことがない高橋選手が、今シーズン飛躍を遂げ、オリンピック初出場で8位入賞というのは、立派な成績ではあるが、メダル射程範囲内で挑んだフリーの演技は、彼の本来持っている力を発揮しきれず、ちょっと不発に終わってしまったという印象があるのがまことに残念だ。                                                           今回のフリーの演技は、ショートの時とは違って、今シーズン見せていた他の大会での演技に比べ生彩がなかった。4回転ジャンプでの転倒。コンビネーション・ジャンプの着氷失敗、その他3回転ジャンプで、点数に加算されない無駄なジャンプなどもあったようで、また得意のステップも、勢いがなく本来の出来ではなく、レベルがとれなかったのか、技術点は、驚くほど低いものだった。そのため予想以上に低い順位に落ちてしまった。全体の印象も、なにか雰囲気に飲まれくすんでしまったようで、その素晴らしいプログラムの良さが出て来なかったのが残念だ。しかし高橋選手はまだ19歳と若い。ここでの苦い経験を活かして、また次を目指して頑張って欲しい。きっと彼の演技が、世界中を魅了し大熱狂させる日が訪れることと思う。                                                                     最終グループ第1滑走で早々と登場したエフゲニー・プルシェンコ選手はさすがというか、1人だけ別の大会に出場しているような、金メダルをもぎ取るためというよりも、金メダル資格確認のための1人舞台で演じているよう。誰も手がとどかない高みにいて、全然楽勝といった雰囲気だ。冒頭に4回転―3回転―2回転のコンビネーション・ジャンプを難なく決め、後半で1度、3回転ジャンプが2回転になった他は、金メダルにふさわしい万全な演技で、結局総合点では、2位以下に27点近くの点差をつけての形での、ぶっちぎりの圧勝で、念願のオリンピック・タイトルを手にした。まさに現在の男子シングルは、プルシェンコ選手の独壇場だ。                                                                             プルシェンコ選手は別次元。このフリーでの興味は、銀と銅メダル争いであったが、ショートの順位どおりには進まず、新採点方式らしい波乱の逆転劇が順位にあらわれた。メダル目前であったショート2位のジョニー・ウィアー選手、4位のブライアン・ジュベール選手は、高橋選手同様に本来の演技をしめすことが出来ず後退、反対にショートで遅れをとっていたジェフリー・バトル選手(6位)や、イヴァン・ライザチェック選手(10位)は、フリー高得点で、上位に浮上してきた。                                                                      ショート3位のステファン・ランビエール選手は、プルシェンコ選手と同じ4回転―3回転―2回転を決め、他何度か失敗はあったもののなんとか持ちこたえ、銀メダルをゲット。銅はバトル選手、ショート10位だが、フリー3位と巻き返したライザチェック選手が4位、後退したウィアー選手が5位ということで、結局、前年ワールドの1~4位の選手が、順位そのままに、プルシェンコ選手の後に続いた格好になった。                                           ☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆       ☆            フィギュアスケート競技も半分が終了し、次はアイスダンス。今夜17日は規定ダンス。1日あいて19日がオリジナル・ダンス。 そして20日がフリー・ダンス。 日本からは渡辺心&木戸章之コンビが出場。         
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by carthaginois | 2006-02-17 12:28 | オリンピック
日本期待の高橋大輔選手。第1滑走ということでいったいどうなることか心配であったが、大きなミスなくまとめ、ショート終わった時点で5位(73.77)という、まずまずの好位置につけた。特に、後半あたりからのスピンやステップは気合が強く感じられ、迫力あった。惜しむべきは、コンビネーション・ジャンプの着氷で少しふらつき、トリプル・アクセルでオーバー・ターンしてしまって、全体として、高橋選手本人曰く不満足の出来だということだが、ニコライ・モロゾフ振り付けによる「ムーラン・ルージュ」は、一つの作品として、格好良く、見応えあった。この大舞台、このメンバーの中で、まだフリーが残っているとはいえ、第5位という成績を上げ、高橋選手もいよいよ本格的に、一流選手の仲間入りを果たしたということを印象付けた今回のショート・プログラムであった。                                                       ただ3位のステファン・ランビエール(79.04)とは5.73という点の開きがある。4位のブライアン・ジュベール(77.77)も強敵。すぐ後ろの6位には、ミスで出遅れたジェフリー・バトル(73.29)が0.48という僅差でつけている。表彰台は、望みはまだあるとはいえ、少し厳しい状況か?しかし、高橋選手はフリーに、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番による、正統派の素晴らしいプログラムを持っている。優勝したスケート・アメリカでの演技は清々しい感動に満ちていた。フリーでは、今度はなんと最終滑走(なんというくじ運だろう!)。その演技に期待したい。                                                                   今回の男子シングルのショート・プログラムは、おかしたミスの大きさ具合が、そのまま順位に反映されたという印象を持った。上位陣でノーミスのエフゲニー・プルシェンコ選手とジョニー・ウィアー選手が1、2位を占めた。プルシェンコ選手は、「トスカ」のプログラムで、4回転―3回転のコンビネーション、他のジャンプも完璧に決め、これでもかこれでもかいったステップ等で見ているものを圧倒し別格の感がある。90.66という高得点をたたき出し、2位のウィアー選手(80.00)と約10点の点差。もはやアクシデントでもない限り、彼の金メダルは確実といった状況だ。                                                            彼のカリスマ性あふれる演技が見られることの興味とは別に、金メダル争いに絡む激しい競い合いが見られないのは、競技としてはちょっと面白くないなぁと感じてしまう。女子シンブルでも、同じような状況になったら嫌だなぁと思う。今夜の男子シングルフリーは、銀メダル、銅メダル争いが焦点になる。ジョニー・ウィアー選手は、今シーズン前半の不調が、特にジャンプがほとんど入れることが出来ず、キス・クラで大泣きしていたスケート・カナダの印象が強く残っていたので、ここでの2位という順位は意外だった。ランビエール選手、ジュベール選手と、4回転ジャンプを武器に持つ選手たちが続いているため、そのまま逃げ切ることが出来るだろうか。                                                                 ☆      ☆      ☆       ☆        ☆      ☆        ☆        荒川静香選手はショート・プログラムに、今シーズンフリーで滑ってきたショパンの「幻想即興曲」をショート用に直してもってくるとのこと。 今までフリーで滑ってきたプログラムを、同じシーズン中にショート用に直してもってくるという例は、あまり前例の無いことと思うので、そう来たか!と強い興味をそそられる。コーチを変え、プログラムを直前に両方変更するというリスクをおかすということは、それだけ彼女のオリンピックに賭ける意気込みの、並々ならぬ強さが感じられる。期待したい!               
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by carthaginois | 2006-02-16 16:30 | オリンピック