フィギュアスケートを外野から楽しむ&応援するための会


by carthaginois

カテゴリ:オリンピック( 14 )

タチアナ・トトミアニナ、マキシム・マリニン組(露)は、「ロミオとジュリエット」による、ぴったりと息のあった、堂々たる王者の風格さえ漂う演技で、ショート・プログラムでのリードを結局15点近くに広げ、全く危なげない、予想どおりの金メダル獲得であった。チャンピオンはここ1番でも強い!                                             惜しまれるは、怪我から復帰したばかりの元世界チャンピオンの申雪、趙宏博組(中)。本調子であったならば、もう少し金メダル争いも接戦で面白くなったはずだが、それでもベテランらしいさすがの存在感を見せ、ショートの5位から3位に順位を上げ、前回のオリンピックに続いての銅メダル獲得となった。彼らの演技には艶がある。                                              今回場内騒然となった一番のハプニングは、最終滑走の張丹、張昊組(中)。演技はじまってすぐにスロー4回転ジャンプに果敢に挑戦するが、着氷失敗。張丹がひざを強打し、それから演技を続けることが出来ず、そこで演技がしばし中断。ショート終了時点で2位につけ、普通に今シーズン見せてきた演技が出来たら、まず銀メダルは確実と思われていたので、いったいどうなることか、もしや棄権かといった雰囲気もあったが、たくさんの拍手に包まれながら、演技をジャンプに失敗したところから再開。その後大きなミスはなかったが、普段の圧倒的なダイナミックさは、少し影をひそめてしまった形で残念だったが、点数的に意外にもダメージは少なかったようで、なんとか銀メダルを維持した。実際彼女らの頑張りは、オリンピックという場にふさわしいガッツを見せ、本来の出来でなくとも、充分銀に値するだろう。まだ若いペアなので、バンクーバーでは金メダル争いをしているかもしれない。2位~4位は僅差で中国の3ペアが並んだ。                                                                            ショートでスロー・トリプルアクセルを成功させ会心の演技を見せた井上怜奈、ジョン・ボールドウィン組は、フリー・プログラム後半で再びスロー・トリプルアクセルに挑戦したが、残念ながら今回は転倒してしまった。順位は総合7位であった。その健闘をたたえ、感動をありがとうと言いたい。全米選手権ではフリーで見事スロートリプルアクセルを成功させ逆転優勝したようなので、世界選手権でのフリーの演技にも期待したい!                                                        ☆       ☆       ☆        ☆        ☆     ☆      ☆                     そして今夜から男子シングル。日本唯一人の参加の高橋大輔選手、今シーズンはシーズン明けのスケート・アメリカで優勝したときの演技が一番素晴らしかった。 あの演技、若しくはそれ以上の演技で、4回転の成功も期待したいところだが、ショートは、なんと、多くの選手が嫌がるという第1グループの第1滑走。しかも第2滑走は優勝候補大本命プルシェンコ。NHKで解説している佐藤有香さんも、オリンピック第1滑走の経験者で、彼女も嫌だったと言っていたが、いったいどうなることか…             
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by carthaginois | 2006-02-14 21:45 | オリンピック
いよいよトリノ・オリンピックが始まりました!
フィギュア・スケートも早速、競技開始初日である2日目から始まりましたが、まずはペアーのショート・プログラムですが、いきなり、米国代表になった井上怜奈選手が、盛り上げてくれました。
井上怜奈&ジョンボールドウィン組は参加20組中4組目、第1グループの最後という早い滑走。スロー・ジャンプでは五輪では初めてだという、スロー・トリプル・アクセルをびしっと決め、他でも息のあったところを見せ、本人たちも会心の出来。今まで世界選手権ではここ3シーズン10位―10位ー11位という成績で、2回の全米チャンピオン、そして直前の四大陸では優勝したとはいえ、オリンピックでの成績に関しては、本国でもそれほど期待されていたわけではなかったようだが、見事な出来で強豪上位陣に喰いこみ、ショート終わって6位(技術点だけなら2位)という、予想外の大健闘を示した。                                                                                                                                                                                                                                                   
筆者は、深夜なにげなく、最後まで見るつもりはなくフィギュアの生放送を見ていたが、この井上組の演技を見て、ぐっと強くひきつけられ、結局最後の組が終わるまで、朝6時すぎまで放送を見てしまった。やはりオリンピックの雰囲気というのは格別。ノーミスの演技を見せられると、よくぞこの大舞台でやったと見ているほうも選手たちと一緒に喜びたくなるし、ミスし茫然自失とした選手たちの姿に対しては、あーあーもったいない!とこちらの方にまでその悔しさが伝わってくる。井上選手の場合は、直前に新聞等で、ここに至るまでのたいへんだった、彼女のストーリーが紹介されて知っていたりしたから、そのやり遂げた、充足感に満ちた姿にとりわけ感動した。米国代表とはいえ、どこの国の選手かというのはもはや関係ないですね。他の国にも強力に応援したい日本人選手がいるというのは、なんだか得した気分がする。                                                                                                                                                                                  
それにしても大接戦だ。1位のトトミアニナ&マリニン組は、点数68.64と1歩飛び出した格好だが、60~65点の間に、2位から8位までのペアーがひしめいている。ちょっとしたミスが勝敗を大きく左右する。井上組がフリーでも良い演技を見せることが出来るか、応援したい。これから2週間は、夜更かしする日が続きそうだ…。                                                                                                                                                  ☆    ☆    ☆     ☆    ☆   ☆    ☆                                                                               女子シングルの米国代表ミシェル・クワン選手が怪我の影響で欠場を決めたとのこと。まだ今シーズンは、そのプログラムを見せていなかったので、タチアナ・タラソワと共にどんなプログラムを作ってきたか、興味があった(特にスルツカヤ選手と曲が重なった、ショートの「死の舞踏」(リスト))が、少し残念。来月の世界選手権も欠場するのだろうか? クワン選手の代わりには、全米選手権で3位に入った、エミリー・ヒューズ選手が出場することに決まった。
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by carthaginois | 2006-02-13 12:58 | オリンピック
04年3月。ドイツ、ドルトムント。世界選手権。総合2位で迎えたフリー演技。最終グループの一番滑走。黒の衣装に身を包んだ荒川選手が氷上に登場する。そしてここから鮮烈な変貌のドラマが始まった。。                   

まずはオープニング。畳み掛けるように繰り出される3回転ジャンプの連続、その連続に圧倒される。まず3回転ー3回転ー2回転。そしてすかさず3回転ー3回転。これで決まった。この2つのコンビネーション・ジャンプの相次ぐ成功が、この演技に、スケールの大きさと決定的な凄味とを与える。                                                     この神懸り的ともいえる、フィギュア・スケート史上に残る演技には、様々な荒川選手の”変貌”のドラマを読み取ることが出来る。まずは、この演技の中での変貌のドラマ。冷酷無常な女王トゥーランドットの、おさまることをしらぬ怒りが巻き起こす壮絶な嵐。しかしやがて真実の愛を知ることにより、その氷の呪文はみるみるとけ、歓喜が爆発、祝宴の舞の華を至る所に咲かせながら、最後は熱狂のうちに至福の時を迎える。荒川選手はその変貌のドラマを、その演技で見事に体現した。 2回目のトリプル・ルッツを決めた瞬間の、感極まった荒川選手のありのままの表情が素晴らしい。                   

この演技には、トゥーランドット姫の変貌のドラマの他にも、このシーズン中での演技の変貌のドラマ、そしてこの数年での彼女の変貌のドラマといったものが、何重にも積み重なって垣間見られ、燦然と輝く。                                                 競技場いっぱいの観客のスタンディング・オーベーションと熱狂的な拍手を受け、審査員からも高得点を獲得、結局荒川選手を、その日は精彩がなかったコーエン選手も、元チャンピオンの意地を見せたクワン選手も上回ることが出来ず、荒川選手の初優勝が決まった。この彼女にぴったりの「トゥーランドット」の演技により、予想での優勝争い圏外から、実力で自らもぎとった堂々たる勝利であった。                   

荒川選手は、世界フィギュアでの優勝後、度々インタビューで、「ライバルは誰でもなく自分自身」「自分が自分を追いかける」といった発言をしているが、まさに今回、2年前と同じ、モロゾフ振り付けによる「トゥーランドット姫」によるプログラムを滑ることになり、あの時の演技に真っ向から挑戦する形になった。しかし超えるべきハードルは高い。一方、技術点に直接つながらない、ロング・イナ・バウアーをあえて取り入れるとのこと。英断だと思う。その勇気のある選択に拍手を贈りたい。彼女の健闘を、荒川選手が、その持てる力を十二分に発揮して、自身納得のいく最高の演技が魅せられるように、心の底より期待したい。なぜならその演技が発する光は、決してその瞬間に消えてしまうものではなく、多くの人たちの記憶の中でいつまでも色あせず、きらきらと輝き続け、そして私たちの“生”を力強く励ましてくれるものだと思うので…
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by carthaginois | 2006-02-06 20:10 | オリンピック
トリノ・オリンピックを前に、安藤美姫選手がフリーの音楽を「蝶々夫人」に変えてきたが、荒川静香選手も、今シーズン滑ってきたショパンの幻想即興曲(オーケストラ版)から、「トゥーランドット姫」に変えてきた。4シーズン前、そして世界選手権で優勝した2シーズン前と同じ曲。今回の振り付けは2シーズン前と同じニコライ・モロゾフ。勝負に出てきた。                   


2シーズン前の衝撃。04年、ドルトムント(ドイツ)での世界選手権の荒川選手は、まさに怪気炎を上げていた。
03―04年シーズンは、前シーズンの好調さを維持し、国際大会では必ず表彰台に上がりコンスタントに好成績を残してきていたが、スケート・アメリカ3位、スケート・カナダ2位、フランス大会2位、グランプリ・ファイナル3位、そして全日本国内選手権は3位と、優勝は皆無であっただけに、世界中の関係者はもちろんのこと、彼女の昔からの熱烈なファンの間でも、世界フィギュアでの優勝を予想出来た人は、恐らく数少なかったことと思われる。どちらかというとファイナルで日本人初優勝を飾った村主選手の方が、もしかすると優勝するかもしれないと期待されていた感じだったように思う。                                            大会1ヶ月程前に、それまでうまく機能していたように見えるキャラハンコーチとのコンビから、タラソワコーチに突然変えたことを不安視する声もあった。2組に分かれる予選がA組と、クワン、スルツカヤ(その時は病み上がりで準備万全ではなかったが)、村主など強豪がひしめく組になってしまったことも不安材料であった。しかし蓋を開けて見れば、予選で、並み居るビッグネームを抑えいきなりA組トップに立ち、ファンを驚嘆させた。                                       何よりも驚かされたのが、その演技面での飛躍的な進化。そしてその漲る自信とすさまじい気迫。予選の冒頭の連続ジャンプが出だし、2回転になってしまったが、すかさず3回転をつなげ、2―3回転。そして続くジャンプで3-3回転。中盤のジャンプでも2回転ループをつなげ、ジャンプはほぼ成功。圧巻はクライマックスのロング・イナ・バウアー。観客のスタンディング・オーベーションを受け、フリー本番に期待を抱かせる最高のスタート。続く「白鳥の湖」(モダンバージョン)によるショートでも3-3ジャンプに果敢に挑み、表現面でさらに華麗さを増し、2位に食い込み、この時点で総合2位。初の世界フィギュアでのメダル・ゲットが実現濃厚になってきた。しかし金メダルには、コーエンの厚い壁があった。                   

このシーズン、荒川選手はコーエン選手と少なからぬ因縁があった。荒川選手は参加する国際大会がすべてコーエン選手と重なった。世界フィギュアまでにたしか5回ほど対戦し、荒川選手がコーエン選手を上回ったのは、1回(アメリカで行われたフリー演技だけの大会、優勝はクワン選手で荒川選手は2位だった)だけで、その時はコーエン選手が絶不調だった。グランプリ・ファイナルでもコーエン選手はジャンプの調子が悪く、何回も転倒したが、クリーンなフリー演技を披露した荒川選手は、コーエン選手を上回ることが出来なかった。そのコーエン選手がグランプリ・ファイナルを境に、タラソワコーチとのコンビを解消、そしてその結果荒川選手がタラソワコーチにつくことにつながり、荒川選手は表現面で飛躍的な進化を遂げることになるのだが、コーエン選手は、サラ・ヒューズのコーチとして有名なワーグナーコーチにつき、フリーの演技内容も変更してくる。そのコーエン選手が世界フィギュア予選B組でダントツのトップ。ショート・プログラムでは「マラゲーニャ」で圧倒的なカリスマ演技を示し、トップを勝取り、コーエン選手の念願の初優勝はまず間違いないと思われた。                                                                                             すべてが決まるフリー演技最終グループは、荒川選手が1番最初、続いてセバスチャン選手、コーエン選手が3番目、そして総合4位と出遅れたクワン選手が4番目、3位とメダルを狙える位置の安藤選手が5番目、最後がコストナー選手という順番だった。 
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by carthaginois | 2006-02-04 18:19 | オリンピック