フィギュアスケートを外野から楽しむ&応援するための会


by carthaginois

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荒川静香選手は、開会式でパヴァロッティが、プッチーニのオペラ「トゥーランドット姫」の中のアリア「誰も寝てはならぬ」を歌ったと知って、なにか運命みたいなものを感じたと言っていたが、今回のフリーの競技が始まった時、あれっ!と思った。 
 フリー最初の滑走者、地元イタリアのシルヴィア・フォンタナ選手のプログラム音楽が、荒川選手と全く同じ、ヴァネッサ・メイのヴァイオリンによる「トゥーランドット」であったのだ。思えば、荒川選手が世界選手権で優勝した際、最終滑走者のカロリーナ・コストナー選手(こちらもイタリア人)が、やはり同じ「トゥーランドット」を一部使用していた。今回、最初に登場したファンタナ選手が「トゥーランドット」で滑っているのを見て、荒川選手にとって、なんだか良い吉兆のように感じられたのでしたが、果たして、その前触れみたいなものは、その4時間近く後、素晴らしい、素晴らしすぎる形を伴って、現実に現われでたのでした。                                                                                  
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
荒川選手、オリンピック、金メダル、おめでとう !!!                                                                                                                                                                                                                                                     
                                                                                                                                                      透明な風に乗って、夢の中の桃源郷にさ迷い出たような、芳香が匂い立つ、美しい演技だった。2年前のドラマチックで激しいトゥーランドット姫とはまた違った、成熟した魅力、より磨かれた大きな華があった。すごいことだと思う。新採点システムに合わせて、高難度の技を次から次へと織り込みながらも、一つの作品として、荒川選手の演技には、ゆったりとした時間が流れていた。まるで雲間で天女が舞っているよう…。まったく自然、且つ美しい。                                                強力なライバルのスルツカヤ選手やコーエン選手が、その重圧からか、普段の演技からは考えられないほど堅くなって転倒もしてしまい、本来の演技が出来なかった中、荒川選手は、自分の演技をしっかりと見せ、観客を(そしておそらく審査員も)魅了した。そしてその結果の金メダル。自分の滑りをひたすら追い求め、深めていき、そしてオリンピックという最高の舞台で、堂々と、麗しく演じきった。同じ日本人として誇りに思います。                                                                        良い演技を見せ4位と健闘した村主章枝選手も、四回転に挑戦した15位だった安藤美姫選手も、お疲れ様でした。驚きと、大きな感動、最高の贈り物をありがとう!私たちは、このオリンピックをきっと忘れないでしょう…                                                                                                     
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by carthaginois | 2006-02-24 08:45 | オリンピック
1位サーシャ・コーエン選手が66.73、2位イリーナ・スルツカヤ選手が66.70、3位荒川静香選手が66.02…コーエン選手と荒川選手の点差は僅か0.71と、上位3人はほぼ横1線に並ぶ展開。トリノオリンピック、フィギュアスケート女子シングルは、コーエン選手&スルツカヤ選手&荒川選手三つ巴による、凄い接戦の、激しい競い合いが実現した。二日後のフリーは、誰が頂点に立つか分らない、逆転も大いにありうる、まことに面白い戦いとなった。                                                                  
                                                                                                                 荒川選手は、今シーズンフリー・スケーティングで滑ってきた、ショパンの「幻想即興曲」(オーケストラ・バージョン)を直前にショート用に変更しての、今回のショート・プログラムだった。フリーで御馴染みの曲とはいえ、プログラムがはじまるまで、いったいどんなことになるのやら、わくわくどきどきだったが… 
 
 暗くどんよりとした灰色の曇り空も、一瞬にして晴らしてしまうような、そんな光輝くパワフルな演技だった。美しかった。凄まじく美しかった。彼女が、喜び満ち溢れた素晴らしい笑顔で演技を終えた瞬間、こちらも感極まって、ヤッターと思わず目の前のテーブルを手で何回もバンバン叩いて、それから、よくぞやってくれたと感動で思わず涙が出そうになった。ワールド優勝以来、皆が待ち望んでいた彼女が、世界の舞台で、それもこの大舞台で、ようやく戻ってきた。さらに華やかに、さらに美しくスケール・アップして戻ってきた。荒川選手が金字塔を打ち立てた。そんなショート・プログラムの演技だった。                                                                                           
                                                              コーエン選手は1位も納得の、めりはりの効いた彼女らしい、パワフルな演技で、スルツカヤ選手ものびのび貫禄の演技で、それぞれ1位2位を占めた。村主選手もノーミスで滑りきり、4位と好位置につけた。2番目と早い滑走順だったマイスナー選手が、3回転3回転を決め、技術点で高得点を獲得して5位。 安藤選手は本調子でなかった。8位という順位。安藤選手に比べ、彼女の前後に滑った、グルジアの無名選手や、ヒューズ選手は良かった。それぞれ6位、7位。今大会ダーク・ホース的存在、地元のバックアップをうけ強力なメダル候補だったコストナー選手は、コンビネーションで転倒、11位と予想外に出遅れた。
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by carthaginois | 2006-02-22 08:40 | オリンピック
ペア、男子シングルに続き、アイスダンスの競技が終了した。ここでも本命のタチアナ・ナフカ&ロマン・コストマロフ組がそのまま優勝。やはりチャンピオンは、ここぞの時に、大きなミスもせず、持ち味を十分発揮して、強い。フリーダンス「カルメン」は、見応えあった。2位は、スピード感がありいきが良かった、アメリカのタニス・ベルビン&ベンジャミン・アゴスト組、3位はエキゾチックなくねくね振付が印象的だった、ウクライナのエレーナ・グルシナ&ルスラン・ゴンチャロフ組に落ち着いた。日本から出場の渡辺心、木戸章之組は15位、この順位はこれまでのオリンピックでのダンス日本ペア最高位だそうだ。                                                                                               前日のオリジナル・ダンスでは、演技終了直前で、もったいない転倒で、順位を上位から落とす組が幾組かあって、演技が終わった直後やキスクラでの表情が、なんとも痛々しかったが、カナダのマリーフランス・デュブリュイル、パトリス・ローゾン組が、オリジナルでの転倒で、女性が体を強打し、演技が出来る状態でなくフリーを棄権してしまったのが、とても残念だ。NHK杯優勝時や、東京グランプリ・ファイナル銅メダルの時に見せた、映画「ある日どこかで」のサントラによる、デビッド・ウィルソン振付によるプログラムのしっとりと美しい演技が素晴らしかっただけに…

☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

今のところロシア勢が金メダルを独占している。残る競技は女子シングルのみ。ロシア勢としては、大本命スルツカヤ優勝で、フィギュアスケートのロシア完全制覇といきたいところだろうけど、それだと面白くない。最後は金メダルも含めたひと波乱、ふた波乱を望みたいところ。(出来れば日本人選手の誰かが、誰でもいいから台風の目となってくれたら最高に面白くなるのだけど…) しかし、何度も大舞台での大勝負を経験してきて、前回のオリンピックのようにほんの僅差で銀に終わり悔し涙を流したこともある、また自らの病その他で競技を離れ、そこから復活を果たしたスルツカヤは、今、はがねの強さを持っている。その壁は厚い。                                                                       そしてアメリカのサーシャ・コーエンは、誰もがその実力は認め、いつ優勝してもおかしくないと思われているものの、世界選手権クラス以上の一番大事な試合で、パーフェクト演技が出来ず、ビッグタイトルを手にするチャンスを今まで逃してきた。彼女も、このシーズン、いよいよ頂点に立ちたいという思いは強いはず。                                                                                                 また地元イタリアのカロリーナ・コストーナーは、ジャンプ、スピード等、強力な武器をもち、また地元の強力なバックアップがあるだけに、開けてみなければ順位の読めないダークホース的存在。 これらのライバルたちを相手に、日本勢がどれだけ自分の満足いく演技をして、さらに審査員からの点数も獲得し、上位に食い込むことが出来るか。今夜、いよいよショート・プログラムが行われる。大、大、大、期待したい!!!                                  主要選手の滑走順は以下のとおり。                                            
第一滑走:  2番マイスナー(米)、3番ポイキオ(フィンランド)、5番ロシェット(加)         第二滑走: 11番ソコロワ(露)                                        第三滑走: 14番安藤 (日)、 15番ヒューズ(米)、16番セバスチャン(ハンガリー)      第四滑走: 18番スルツカヤ(露)、21番荒川 (日)                           最終滑走: 26番リアシェンコ(ウクライナ)、27番村主(日)、28番コストナー(伊)、29番コーエン(米)                                                      なお、出場予定だったロシアのビクトリア・ヴォルチコワ選手は棄権したそうだ。                                              
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by carthaginois | 2006-02-21 14:37 | オリンピック
やはりオリンピック最終滑走の重圧は重かったのか、高橋大輔選手はショート5位と好位置につけていたが、臨んだフリーは9位、総合では8位という結果に終わった。まだ世界選手権でベスト10に入ったことがない高橋選手が、今シーズン飛躍を遂げ、オリンピック初出場で8位入賞というのは、立派な成績ではあるが、メダル射程範囲内で挑んだフリーの演技は、彼の本来持っている力を発揮しきれず、ちょっと不発に終わってしまったという印象があるのがまことに残念だ。                                                           今回のフリーの演技は、ショートの時とは違って、今シーズン見せていた他の大会での演技に比べ生彩がなかった。4回転ジャンプでの転倒。コンビネーション・ジャンプの着氷失敗、その他3回転ジャンプで、点数に加算されない無駄なジャンプなどもあったようで、また得意のステップも、勢いがなく本来の出来ではなく、レベルがとれなかったのか、技術点は、驚くほど低いものだった。そのため予想以上に低い順位に落ちてしまった。全体の印象も、なにか雰囲気に飲まれくすんでしまったようで、その素晴らしいプログラムの良さが出て来なかったのが残念だ。しかし高橋選手はまだ19歳と若い。ここでの苦い経験を活かして、また次を目指して頑張って欲しい。きっと彼の演技が、世界中を魅了し大熱狂させる日が訪れることと思う。                                                                     最終グループ第1滑走で早々と登場したエフゲニー・プルシェンコ選手はさすがというか、1人だけ別の大会に出場しているような、金メダルをもぎ取るためというよりも、金メダル資格確認のための1人舞台で演じているよう。誰も手がとどかない高みにいて、全然楽勝といった雰囲気だ。冒頭に4回転―3回転―2回転のコンビネーション・ジャンプを難なく決め、後半で1度、3回転ジャンプが2回転になった他は、金メダルにふさわしい万全な演技で、結局総合点では、2位以下に27点近くの点差をつけての形での、ぶっちぎりの圧勝で、念願のオリンピック・タイトルを手にした。まさに現在の男子シングルは、プルシェンコ選手の独壇場だ。                                                                             プルシェンコ選手は別次元。このフリーでの興味は、銀と銅メダル争いであったが、ショートの順位どおりには進まず、新採点方式らしい波乱の逆転劇が順位にあらわれた。メダル目前であったショート2位のジョニー・ウィアー選手、4位のブライアン・ジュベール選手は、高橋選手同様に本来の演技をしめすことが出来ず後退、反対にショートで遅れをとっていたジェフリー・バトル選手(6位)や、イヴァン・ライザチェック選手(10位)は、フリー高得点で、上位に浮上してきた。                                                                      ショート3位のステファン・ランビエール選手は、プルシェンコ選手と同じ4回転―3回転―2回転を決め、他何度か失敗はあったもののなんとか持ちこたえ、銀メダルをゲット。銅はバトル選手、ショート10位だが、フリー3位と巻き返したライザチェック選手が4位、後退したウィアー選手が5位ということで、結局、前年ワールドの1~4位の選手が、順位そのままに、プルシェンコ選手の後に続いた格好になった。                                           ☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆       ☆            フィギュアスケート競技も半分が終了し、次はアイスダンス。今夜17日は規定ダンス。1日あいて19日がオリジナル・ダンス。 そして20日がフリー・ダンス。 日本からは渡辺心&木戸章之コンビが出場。         
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by carthaginois | 2006-02-17 12:28 | オリンピック
日本期待の高橋大輔選手。第1滑走ということでいったいどうなることか心配であったが、大きなミスなくまとめ、ショート終わった時点で5位(73.77)という、まずまずの好位置につけた。特に、後半あたりからのスピンやステップは気合が強く感じられ、迫力あった。惜しむべきは、コンビネーション・ジャンプの着氷で少しふらつき、トリプル・アクセルでオーバー・ターンしてしまって、全体として、高橋選手本人曰く不満足の出来だということだが、ニコライ・モロゾフ振り付けによる「ムーラン・ルージュ」は、一つの作品として、格好良く、見応えあった。この大舞台、このメンバーの中で、まだフリーが残っているとはいえ、第5位という成績を上げ、高橋選手もいよいよ本格的に、一流選手の仲間入りを果たしたということを印象付けた今回のショート・プログラムであった。                                                       ただ3位のステファン・ランビエール(79.04)とは5.73という点の開きがある。4位のブライアン・ジュベール(77.77)も強敵。すぐ後ろの6位には、ミスで出遅れたジェフリー・バトル(73.29)が0.48という僅差でつけている。表彰台は、望みはまだあるとはいえ、少し厳しい状況か?しかし、高橋選手はフリーに、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番による、正統派の素晴らしいプログラムを持っている。優勝したスケート・アメリカでの演技は清々しい感動に満ちていた。フリーでは、今度はなんと最終滑走(なんというくじ運だろう!)。その演技に期待したい。                                                                   今回の男子シングルのショート・プログラムは、おかしたミスの大きさ具合が、そのまま順位に反映されたという印象を持った。上位陣でノーミスのエフゲニー・プルシェンコ選手とジョニー・ウィアー選手が1、2位を占めた。プルシェンコ選手は、「トスカ」のプログラムで、4回転―3回転のコンビネーション、他のジャンプも完璧に決め、これでもかこれでもかいったステップ等で見ているものを圧倒し別格の感がある。90.66という高得点をたたき出し、2位のウィアー選手(80.00)と約10点の点差。もはやアクシデントでもない限り、彼の金メダルは確実といった状況だ。                                                            彼のカリスマ性あふれる演技が見られることの興味とは別に、金メダル争いに絡む激しい競い合いが見られないのは、競技としてはちょっと面白くないなぁと感じてしまう。女子シンブルでも、同じような状況になったら嫌だなぁと思う。今夜の男子シングルフリーは、銀メダル、銅メダル争いが焦点になる。ジョニー・ウィアー選手は、今シーズン前半の不調が、特にジャンプがほとんど入れることが出来ず、キス・クラで大泣きしていたスケート・カナダの印象が強く残っていたので、ここでの2位という順位は意外だった。ランビエール選手、ジュベール選手と、4回転ジャンプを武器に持つ選手たちが続いているため、そのまま逃げ切ることが出来るだろうか。                                                                 ☆      ☆      ☆       ☆        ☆      ☆        ☆        荒川静香選手はショート・プログラムに、今シーズンフリーで滑ってきたショパンの「幻想即興曲」をショート用に直してもってくるとのこと。 今までフリーで滑ってきたプログラムを、同じシーズン中にショート用に直してもってくるという例は、あまり前例の無いことと思うので、そう来たか!と強い興味をそそられる。コーチを変え、プログラムを直前に両方変更するというリスクをおかすということは、それだけ彼女のオリンピックに賭ける意気込みの、並々ならぬ強さが感じられる。期待したい!               
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by carthaginois | 2006-02-16 16:30 | オリンピック
タチアナ・トトミアニナ、マキシム・マリニン組(露)は、「ロミオとジュリエット」による、ぴったりと息のあった、堂々たる王者の風格さえ漂う演技で、ショート・プログラムでのリードを結局15点近くに広げ、全く危なげない、予想どおりの金メダル獲得であった。チャンピオンはここ1番でも強い!                                             惜しまれるは、怪我から復帰したばかりの元世界チャンピオンの申雪、趙宏博組(中)。本調子であったならば、もう少し金メダル争いも接戦で面白くなったはずだが、それでもベテランらしいさすがの存在感を見せ、ショートの5位から3位に順位を上げ、前回のオリンピックに続いての銅メダル獲得となった。彼らの演技には艶がある。                                              今回場内騒然となった一番のハプニングは、最終滑走の張丹、張昊組(中)。演技はじまってすぐにスロー4回転ジャンプに果敢に挑戦するが、着氷失敗。張丹がひざを強打し、それから演技を続けることが出来ず、そこで演技がしばし中断。ショート終了時点で2位につけ、普通に今シーズン見せてきた演技が出来たら、まず銀メダルは確実と思われていたので、いったいどうなることか、もしや棄権かといった雰囲気もあったが、たくさんの拍手に包まれながら、演技をジャンプに失敗したところから再開。その後大きなミスはなかったが、普段の圧倒的なダイナミックさは、少し影をひそめてしまった形で残念だったが、点数的に意外にもダメージは少なかったようで、なんとか銀メダルを維持した。実際彼女らの頑張りは、オリンピックという場にふさわしいガッツを見せ、本来の出来でなくとも、充分銀に値するだろう。まだ若いペアなので、バンクーバーでは金メダル争いをしているかもしれない。2位~4位は僅差で中国の3ペアが並んだ。                                                                            ショートでスロー・トリプルアクセルを成功させ会心の演技を見せた井上怜奈、ジョン・ボールドウィン組は、フリー・プログラム後半で再びスロー・トリプルアクセルに挑戦したが、残念ながら今回は転倒してしまった。順位は総合7位であった。その健闘をたたえ、感動をありがとうと言いたい。全米選手権ではフリーで見事スロートリプルアクセルを成功させ逆転優勝したようなので、世界選手権でのフリーの演技にも期待したい!                                                        ☆       ☆       ☆        ☆        ☆     ☆      ☆                     そして今夜から男子シングル。日本唯一人の参加の高橋大輔選手、今シーズンはシーズン明けのスケート・アメリカで優勝したときの演技が一番素晴らしかった。 あの演技、若しくはそれ以上の演技で、4回転の成功も期待したいところだが、ショートは、なんと、多くの選手が嫌がるという第1グループの第1滑走。しかも第2滑走は優勝候補大本命プルシェンコ。NHKで解説している佐藤有香さんも、オリンピック第1滑走の経験者で、彼女も嫌だったと言っていたが、いったいどうなることか…             
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by carthaginois | 2006-02-14 21:45 | オリンピック
いよいよトリノ・オリンピックが始まりました!
フィギュア・スケートも早速、競技開始初日である2日目から始まりましたが、まずはペアーのショート・プログラムですが、いきなり、米国代表になった井上怜奈選手が、盛り上げてくれました。
井上怜奈&ジョンボールドウィン組は参加20組中4組目、第1グループの最後という早い滑走。スロー・ジャンプでは五輪では初めてだという、スロー・トリプル・アクセルをびしっと決め、他でも息のあったところを見せ、本人たちも会心の出来。今まで世界選手権ではここ3シーズン10位―10位ー11位という成績で、2回の全米チャンピオン、そして直前の四大陸では優勝したとはいえ、オリンピックでの成績に関しては、本国でもそれほど期待されていたわけではなかったようだが、見事な出来で強豪上位陣に喰いこみ、ショート終わって6位(技術点だけなら2位)という、予想外の大健闘を示した。                                                                                                                                                                                                                                                   
筆者は、深夜なにげなく、最後まで見るつもりはなくフィギュアの生放送を見ていたが、この井上組の演技を見て、ぐっと強くひきつけられ、結局最後の組が終わるまで、朝6時すぎまで放送を見てしまった。やはりオリンピックの雰囲気というのは格別。ノーミスの演技を見せられると、よくぞこの大舞台でやったと見ているほうも選手たちと一緒に喜びたくなるし、ミスし茫然自失とした選手たちの姿に対しては、あーあーもったいない!とこちらの方にまでその悔しさが伝わってくる。井上選手の場合は、直前に新聞等で、ここに至るまでのたいへんだった、彼女のストーリーが紹介されて知っていたりしたから、そのやり遂げた、充足感に満ちた姿にとりわけ感動した。米国代表とはいえ、どこの国の選手かというのはもはや関係ないですね。他の国にも強力に応援したい日本人選手がいるというのは、なんだか得した気分がする。                                                                                                                                                                                  
それにしても大接戦だ。1位のトトミアニナ&マリニン組は、点数68.64と1歩飛び出した格好だが、60~65点の間に、2位から8位までのペアーがひしめいている。ちょっとしたミスが勝敗を大きく左右する。井上組がフリーでも良い演技を見せることが出来るか、応援したい。これから2週間は、夜更かしする日が続きそうだ…。                                                                                                                                                  ☆    ☆    ☆     ☆    ☆   ☆    ☆                                                                               女子シングルの米国代表ミシェル・クワン選手が怪我の影響で欠場を決めたとのこと。まだ今シーズンは、そのプログラムを見せていなかったので、タチアナ・タラソワと共にどんなプログラムを作ってきたか、興味があった(特にスルツカヤ選手と曲が重なった、ショートの「死の舞踏」(リスト))が、少し残念。来月の世界選手権も欠場するのだろうか? クワン選手の代わりには、全米選手権で3位に入った、エミリー・ヒューズ選手が出場することに決まった。
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by carthaginois | 2006-02-13 12:58 | オリンピック
04年3月。ドイツ、ドルトムント。世界選手権。総合2位で迎えたフリー演技。最終グループの一番滑走。黒の衣装に身を包んだ荒川選手が氷上に登場する。そしてここから鮮烈な変貌のドラマが始まった。。                   

まずはオープニング。畳み掛けるように繰り出される3回転ジャンプの連続、その連続に圧倒される。まず3回転ー3回転ー2回転。そしてすかさず3回転ー3回転。これで決まった。この2つのコンビネーション・ジャンプの相次ぐ成功が、この演技に、スケールの大きさと決定的な凄味とを与える。                                                     この神懸り的ともいえる、フィギュア・スケート史上に残る演技には、様々な荒川選手の”変貌”のドラマを読み取ることが出来る。まずは、この演技の中での変貌のドラマ。冷酷無常な女王トゥーランドットの、おさまることをしらぬ怒りが巻き起こす壮絶な嵐。しかしやがて真実の愛を知ることにより、その氷の呪文はみるみるとけ、歓喜が爆発、祝宴の舞の華を至る所に咲かせながら、最後は熱狂のうちに至福の時を迎える。荒川選手はその変貌のドラマを、その演技で見事に体現した。 2回目のトリプル・ルッツを決めた瞬間の、感極まった荒川選手のありのままの表情が素晴らしい。                   

この演技には、トゥーランドット姫の変貌のドラマの他にも、このシーズン中での演技の変貌のドラマ、そしてこの数年での彼女の変貌のドラマといったものが、何重にも積み重なって垣間見られ、燦然と輝く。                                                 競技場いっぱいの観客のスタンディング・オーベーションと熱狂的な拍手を受け、審査員からも高得点を獲得、結局荒川選手を、その日は精彩がなかったコーエン選手も、元チャンピオンの意地を見せたクワン選手も上回ることが出来ず、荒川選手の初優勝が決まった。この彼女にぴったりの「トゥーランドット」の演技により、予想での優勝争い圏外から、実力で自らもぎとった堂々たる勝利であった。                   

荒川選手は、世界フィギュアでの優勝後、度々インタビューで、「ライバルは誰でもなく自分自身」「自分が自分を追いかける」といった発言をしているが、まさに今回、2年前と同じ、モロゾフ振り付けによる「トゥーランドット姫」によるプログラムを滑ることになり、あの時の演技に真っ向から挑戦する形になった。しかし超えるべきハードルは高い。一方、技術点に直接つながらない、ロング・イナ・バウアーをあえて取り入れるとのこと。英断だと思う。その勇気のある選択に拍手を贈りたい。彼女の健闘を、荒川選手が、その持てる力を十二分に発揮して、自身納得のいく最高の演技が魅せられるように、心の底より期待したい。なぜならその演技が発する光は、決してその瞬間に消えてしまうものではなく、多くの人たちの記憶の中でいつまでも色あせず、きらきらと輝き続け、そして私たちの“生”を力強く励ましてくれるものだと思うので…
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by carthaginois | 2006-02-06 20:10 | オリンピック
トリノ・オリンピックを前に、安藤美姫選手がフリーの音楽を「蝶々夫人」に変えてきたが、荒川静香選手も、今シーズン滑ってきたショパンの幻想即興曲(オーケストラ版)から、「トゥーランドット姫」に変えてきた。4シーズン前、そして世界選手権で優勝した2シーズン前と同じ曲。今回の振り付けは2シーズン前と同じニコライ・モロゾフ。勝負に出てきた。                   


2シーズン前の衝撃。04年、ドルトムント(ドイツ)での世界選手権の荒川選手は、まさに怪気炎を上げていた。
03―04年シーズンは、前シーズンの好調さを維持し、国際大会では必ず表彰台に上がりコンスタントに好成績を残してきていたが、スケート・アメリカ3位、スケート・カナダ2位、フランス大会2位、グランプリ・ファイナル3位、そして全日本国内選手権は3位と、優勝は皆無であっただけに、世界中の関係者はもちろんのこと、彼女の昔からの熱烈なファンの間でも、世界フィギュアでの優勝を予想出来た人は、恐らく数少なかったことと思われる。どちらかというとファイナルで日本人初優勝を飾った村主選手の方が、もしかすると優勝するかもしれないと期待されていた感じだったように思う。                                            大会1ヶ月程前に、それまでうまく機能していたように見えるキャラハンコーチとのコンビから、タラソワコーチに突然変えたことを不安視する声もあった。2組に分かれる予選がA組と、クワン、スルツカヤ(その時は病み上がりで準備万全ではなかったが)、村主など強豪がひしめく組になってしまったことも不安材料であった。しかし蓋を開けて見れば、予選で、並み居るビッグネームを抑えいきなりA組トップに立ち、ファンを驚嘆させた。                                       何よりも驚かされたのが、その演技面での飛躍的な進化。そしてその漲る自信とすさまじい気迫。予選の冒頭の連続ジャンプが出だし、2回転になってしまったが、すかさず3回転をつなげ、2―3回転。そして続くジャンプで3-3回転。中盤のジャンプでも2回転ループをつなげ、ジャンプはほぼ成功。圧巻はクライマックスのロング・イナ・バウアー。観客のスタンディング・オーベーションを受け、フリー本番に期待を抱かせる最高のスタート。続く「白鳥の湖」(モダンバージョン)によるショートでも3-3ジャンプに果敢に挑み、表現面でさらに華麗さを増し、2位に食い込み、この時点で総合2位。初の世界フィギュアでのメダル・ゲットが実現濃厚になってきた。しかし金メダルには、コーエンの厚い壁があった。                   

このシーズン、荒川選手はコーエン選手と少なからぬ因縁があった。荒川選手は参加する国際大会がすべてコーエン選手と重なった。世界フィギュアまでにたしか5回ほど対戦し、荒川選手がコーエン選手を上回ったのは、1回(アメリカで行われたフリー演技だけの大会、優勝はクワン選手で荒川選手は2位だった)だけで、その時はコーエン選手が絶不調だった。グランプリ・ファイナルでもコーエン選手はジャンプの調子が悪く、何回も転倒したが、クリーンなフリー演技を披露した荒川選手は、コーエン選手を上回ることが出来なかった。そのコーエン選手がグランプリ・ファイナルを境に、タラソワコーチとのコンビを解消、そしてその結果荒川選手がタラソワコーチにつくことにつながり、荒川選手は表現面で飛躍的な進化を遂げることになるのだが、コーエン選手は、サラ・ヒューズのコーチとして有名なワーグナーコーチにつき、フリーの演技内容も変更してくる。そのコーエン選手が世界フィギュア予選B組でダントツのトップ。ショート・プログラムでは「マラゲーニャ」で圧倒的なカリスマ演技を示し、トップを勝取り、コーエン選手の念願の初優勝はまず間違いないと思われた。                                                                                             すべてが決まるフリー演技最終グループは、荒川選手が1番最初、続いてセバスチャン選手、コーエン選手が3番目、そして総合4位と出遅れたクワン選手が4番目、3位とメダルを狙える位置の安藤選手が5番目、最後がコストナー選手という順番だった。 
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by carthaginois | 2006-02-04 18:19 | オリンピック