フィギュアスケートを外野から楽しむ&応援するための会


by carthaginois

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先週末、横浜美術館で行われた(脳科学者の)茂木健一郎さんの講演がエネルギッシュでとても面白かったです。


講演の中で特に印象に残ったのが、本物のアーティストと呼ばれるような人はみんな、強烈な゛毒”を持つのを感じさせる、という話。そういうアーティストは、体内に凶暴なモンスター、怪物を一匹飼っているのだが、その゛毒”、怪物性をそのままネガティヴな形のまま放出するのではなく、世にも美しい形に転化させて世間に送り出す、白魔術の使い手だ……みたいな話をされていて、なるほどと思いますた。
〔参考までに)茂木健一郎さんがブログで公開している講演会の音声ファイル

茂木さんの著書の中でも、否定的な感情のエネルギーを、肯定的な感情に変える「魂の錬金術」ということに言及されていて、「人間は変わることができる。ネガティヴな感情のエネルギーを、世界を肯定する意志へと転換することができる」とおっしゃっていて、また、「相手に対する恨みを晴らそうとしたり、あるいは自分の権勢欲を満足させるといったネガティヴな目的のために使われる魔法」を「黒魔術」、それに対して「愛の成就や、美しいものをつくり出すといったポジティヴな目的のために使われる魔法」を「白魔術」と分かり易く定義されている。(『それでも脳はたくらむ』(中公新書ラクレ)217-8ページ参照)

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浅田真央選手の帰国会見で、タチアナ・タラソワ女史がメインコーチに決まったことを発表されました。吉報ですね、まずはめでたし。。。。
タラソワ・コーチというと、若いときの写真とか見ると美人だったようですが、凄腕の魔女、もしくは獰猛な野獣といったイメージがあって、その存在感というかスケール感が、グラマーピンナップモデルが100人束になってもかなわない、強烈!ダイナマイトボンボンという感じで、まさしく茂木さん流に言えば猛゛毒"そのものといった感じ、、、、、、、

(タチアナ・タラソワさんの公式サイトより)



ときどき試合などの映像で、選手の演技を見つめるコーチの表情など流すことがあるけれど、そういう際のタラソワ・コーチの目、まさに獲物をにらむ爬虫類の目で、実に恐ろし~~~。
それとともに、大舞台で教える選手の演技がうまくいったときなどに見せる歓喜爆発といった姿も、日本人の感覚からいったらなんか規格外で圧倒される。
そういう激情を露にするタラソワ・コーチのお姿を、真央選手と一緒に見れるというのも一つ楽しみですが、真央選手が、彼女自身内面に持っているであろう毒と合わせて、タラソワ・コーチがもたらす猛毒を注入して、どうミックスして消化してゆき、そこから白魔術によって、今までよりさらに進化したさらに美しいものを創り出してゆき、どのよう規格外の驚きと感動、新しい感覚をもたらすか…そしてそこから世界にどのような影響を与えてゆき変えてゆくかということが、これからフィギュア・スケートを鑑賞していく上での(個人的に)一つ大きな柱かなぁと、興味津々です。

黄金コンビ蜜月の始まりか?真央vsタラソワ コラボレーション最初の記念すべき魔法の成果
Mao Asada SP 2008 Worlds" (youtube)






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魔法とロシアつながりついでに…
こちらはロシア20世紀文学の金字塔といわれる、ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』。
悪魔ヴォランド率いる、邪悪なとっても怪しい一味がモスクワの町で大暴れし、(こちらは)黒魔術を使って人々を混乱の極みに陥れる。奇想天外な空前絶後のマジック・ショー、二本足で歩いて喋るでっぷりふとった大猫や、ほうきに乗って空飛ぶ若く美しい魔女も出現……と、とっても賑やか。
文学全集の中の一巻としてこの春出版された全面改訳版が、読みやすく、600ページ近い大作ですが、おもろい小説読んだわいという重みある満足感を与えてくれる小説で、おすすめです。

巨匠とマルガリータ (世界文学全集 1-5)
ミハイル・A・ブルガーコフ / / 河出書房新社

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by carthaginois | 2008-06-27 00:08 | スケーター
織田信成選手に続いて、村主章枝選手もニコライ・モロゾフ氏にコーチ変更との驚きももの木のニュースが流れましたが、モロゾフはん、トリノ以来コーチとしても大もてで、日本のお茶の間にもすっかりお馴染みの顔に……………忙しそうですね。

さてこちらはモロゾフはんのプライベート上の元パートナー、シェーリーン・ボーンさん。

アイスダンスの2003年世界チャンピオン、その後プロになってからはソロで活躍、また振付師としても良い仕事しているようですが、エンターテイナーとして、ゴージャス感ある大人の女性の存在感が、氷上に映えますね。たんと魅せてくれます。
ここで紹介する演技は2005年、ちょっと前のですが、タンゴのリズムに乗って、彼女と一緒に椅子もすべ~ぇ~~るすべるで、まるで自由自在にものを操るマジシャンのよう…。ということで、"氷上の魔法使いたち"と銘打ったこのシリーズ企画(ちょっと大げさですが)のようなもんに、ぴったしということで、ご登場願いました。
Shae-Lynn Bourne "La Cumprasita" (youtube)




マジシャンといえば、現在公開中の『幻影師アイゼンハイム』という、19世紀末のウィーンが舞台の魔術師が主人公の映画。まだ見ていないのですが、気になる映画……
映画『幻影師アイザンハイム』公式サイト


最近、この映画の原作者スティーヴン・ミルハウザーの短編集『ナイフ投げ師』を、そのお茶目な表紙とタイトルがひっかかって読んでみましたが、魔法のような12の短編と銘打つこの作品集、遊園地、デパート、劇場、地下迷路、真夜中の森、空飛ぶ絨毯、気球……などが主舞台で、どっでも怪じい世界に、ぞれぞれ凝りにごっだ細がい仕がげがぎっじり詰めごまれでいで、ちょっど読みづらいあるが、訳者解説によると、「ミルハウザーを好きになることは、吸血鬼に噛まれることに似ていて、いったん魔法に感染してしまったら、健康を取り戻すことは不可能に近い」んだぞうで、確かにこの作家、はまる人ははまる、濃厚でディープなお味が、なんとも乙ですた。

ナイフ投げ師
スティーヴン・ミルハウザー / / 白水社
(ちなみに映画の原作『幻影師、アイゼンハイム』は別の短編集『バーナーム博物館』の中に)




ちょっと脱線しましたが、シェーリーン・ボーンさん、昨年のXOIクリスマス・オン・アイスに続いて、もうすぐ日本でその演技が見れるということで、今度は7月上旬のFOI。どんな氷上マジックを披露してくれるでしょうか、こちらも気になります。。。ということで、乙な真夏のアイスショー、FOI、フェアリーズ・オン・アイスといったムードのホームページはこちら↓
フレンズ・オン・アイス

今年で3年目だというこのアイスショー、ちょっと物珍しい輩たちが例年参加してますが、今年は、トリノ・オリンピック銀メダルのアイスダンスカップル、ベルビン&アゴストが面白そう。
昨シーズン滑ってきたこのエキシビション・ナンバー、2人の息もぴったりの弾けた、なんともホットな演技ですが、日本のスケート・シーンで、このカップルの演技が見れるというのは、なんかレア感あります。↓
Tanith Belbin and Ben Agosto"Sexy back & My love" (youtube)

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by carthaginois | 2008-06-17 00:08 | スケート・ショー
浅田真央選手が6月初旬、来季プログラムを作成するためロシアへ渡ったそうですが、来季は振付師の役割チェンジを試み、フリー・プログラムをタチアナ・タラソワ女史が担当することなんだそうで、どんなT流の激情型Lプログラムが飛び出してくるのやらワクワクします。
ロシアから帰国後は今度はカナダのローリー・ニコル女史のもとでショート・プログラム作りなのだそうで、なんだか世界中の選りすぐりの魔女たちの膝元で、腕前をさらに磨く魔法使いの弟子といったイメージが………??
まあまあそれはさておき、新プログラムを見るのはいつでも楽しいものですね。

先日、たまたまyoutubeで太田由希奈選手の新しいエキシビション・ナンバーを見ましたが、観るものの精神も躍る、摩天楼の輝き、スタイリッシュで洗練された演技に、「待ってました!!」と堪能させられました。
太田選手の演技には、いたるところに巧みな魔術が仕掛けられていて、発見の楽しみ、普段以上に集中力を動員してじっくり見るのが好きなんですが、毎度ながら細かく見れば見るほどウゥーーーーーンと唸らされてしまうのです。

Yukina Ota "Love Story(Where Do I Begin)" (youtube)



どんなジャンルの曲を使用しても、音楽のエッセンスを解釈して常にハイ・クオリティーで魅せきってしまうのは流石。
私の場合、彼女の演技については、まだまだその需要に供給が追いついていない状態で、たまに見たりするとそれが呼び水となって、彼女の演技をもっと見たいと実感させられるし、テレビのフィギュアスケート番組などで、放送時間の都合上ダイジェスト版の中の一人として組み入れられたりしているのを見ると、本来こういう位置づけにすべき選手ではないのにと思ったりも………

ただ復活後の彼女の演技を見るとき、魅了されると同時に、ちょっと複雑な気持ちになるのも否めない。
ちょっと変な喩えだけれども、彼女の演技のはじめから終わりまでを、ひとつの駅伝コースと見立てて細かく区分するなら、多くの区間でトップの抜群のタイムなんだけど、足をひっぱってしまう区間が………
しかし、プラス面がマイナス面を補って、たっぷりおつりが出る程余りあるし、リンク上に独特の異空間を造形する力量というのは、いつ見ても傑出しているなあと感心させられます。
そして、10代の少女の頃の幻惑させられるきらびやかなまでの表現力もいいけど、経験を重ね20代になって、その表現に滋味のようなものが加わり、より味わい深くなったような気がします。

太田選手にはもっともっと第一線の表舞台で活躍してほしいなぁと…これからの期待も込めて…



もうひとつ最近youtubeで偶然発見して、気になった演技。
私はこういう大会が存在するのを初めて知ったのですが、AEGON CHALLENGE CUP2008というオランダで3月に開催された大会で優勝した鈴木明子選手の演技が、とても良かった。

Akiko Suzuki 2008 AEGON CHALLENGE CUP EX(youtube)


この大会の鈴木選手は、大会を通じて良いのだけど、私は、特にエキシビションでの『タイタニック』主題歌による、布さばきもたいへん見事な演技が、見応えあり迫力もあり好きです。
ただ残念なことにこの個人の方が撮影された映像、ちょっと映像と音声がはっきりずれていて、雑音も混じり鑑賞しづらいという難点はありますが、そんなvideoの致命的欠点にもかまわず繰り返し見てしまいたくなる、素晴らしい演技だと思いました。

彼女もその独特な造形美が光っているし、2007-8シーズンは、完成度の高い好演技が目立ったシーズンだった。四大陸選手権に2002年以来か?久しぶりに出場するのを見てみたかったけれど、国際スケート連盟の要請かなにかに従ったのか、日本スケート連盟の出場メンバーに対する方針かなんかが変わってしまったのがなんともかんとも、残念!
もっと大きな国際大会で活躍するを見てみたい選手の一人です。
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by carthaginois | 2008-06-10 00:39 | スケーター

続・第三の女

NHKのBS2で放送された『WATARIDORI』という映画を見ました。

世界中に生息する渡り鳥たちの姿を、鳥たちに寄り添うような視点で、淡々と、しかしスケール大きく記録したドキュメンタリームービーなのですが、その美しい映像に強くひきこまれ、見てほんまよかったなぁ、また見てみたいなぁ思いました。




この映画には主たるストーリーらしきものがない。過剰な演出というものもない。型に嵌った人為的解釈というものもない。鳥たちの生態をあるがままに提示しようとしている製作者たちの真摯な姿勢、そして熱い情熱が読み取れるのですが、そこにこの地球上に生を受け生きるもの、他者に対する共感が感じられ、バタバタ(batabata) or パタパタ(patapata) と、翼を一心不乱にはばたかせ、ひたすら目的地に向かって、海越え山越え、野原に砂漠も越え、群れをなし旅し続ける鳥たちの神秘、なんともいえない不思議、驚異が、ジーーーーーーーーーンと静かな感動の波となってストレートにおしよせてくる、そんな映画でした。

この映画を見ている間、浅田真央選手の演技している姿が何回か目の前に浮かんできました。
この前の世界選手権でのショート・プログラムの最後のステップのところ。鳥が飛翔するイメージのポーズ。生きている鳥の姿が一瞬垣間見えた。あそこには真実な決定的な何かがあると感じられた。あの地点からビームみたいな特別な光線が発信されたような…世界が一つに繋がったような…。彼女の演技にも、人智を超えた神秘、不思議、驚異が強く感じられる。

ちょっとファンの贔屓目からかもしれませんが、彼女は特別、他の選手たちとは全然違うなという感じを受けています。とってもヴェイリーVeryオリジナル。。。

前回のわたしの投稿で、最近のオリンピックの女子フィギュアの傾向を見ていて、金メダル候補が実際金メダルをとるのは重圧その他もろもろでとても難しいこと、ちょっとだけ精神的に身軽な〝第3の女″のポジションがおいしい、バンクーバーでは新鋭勢いのある長洲選手あたりが有利なのでは?なんて大風呂敷を広げてみましたが、一方、現時点優勝候補筆頭の浅田選手は、念願金メダルに寸前手が届かなかったクワン選手やスルツカヤ選手のようにはならない、彼女は特別、彼女は乗り越える、彼女はきっとやる、というような全く根拠のない実感がつきまとうのも、浅田選手が持っている巨大さ、それは目には見えない、まだまだ充分に真価を発揮していないように思える巨大さ、全くオリジナルな彼女の内部に存在している、その圧倒的なまでのマジカルなパワーがなせるわざなのでしょうか?

人を驚嘆させ熱中させるだけの力、というのはとても価値ある力だと思う。これはちょっと受け売りっぽいんですが、いろいろな人が、生きている上でもっているさまざまな悩みや苦しみや怒り、それらに囚われている現実世界をしばし忘れさせ、たとえ一時であれ別世界別天地へと連れ去り遊ばせるというのは、それはそれはすごいことだと思う。演技が素晴らしいものであれば素晴らしいだけ、美しければ美しいだけ熱中度も高く、また演技を見る人が多ければ多いだけ、癒される魂の数も多い、成し遂げられる意義も大きい、そういうヒューマンな一面も多聞にあると思う。

またたとえ結果がどのようなものになったとしても、人のために何か善いことをやろうという意志、少なくともそのことは伝わるし、その意志が何よりも尊いOTAKARAとも思う。だから…
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by carthaginois | 2008-06-03 00:18 | オリンピック