フィギュアスケートを外野から楽しむ&応援するための会


by carthaginois

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最近Youtubeに、2003年スケート・カナダでの荒川静香さんのフリー演技のビデオが追加されているのを発見して狂喜乱舞しました。

個人的で俗な話で恐縮ですが、当時(NHKBS1での)スケート・カナダの放送時、ビデオ録画に失敗しまして、家に帰ってきて見ようとしたら音声だけで映像がガーーーーーーーーーン、映っていない。その本放送のあとすぐに早朝の時間帯に再放送の機会があったのですが、SPが終わってこれからフリーというときになって、(誰だか忘れてしまったけれど)ある政治家の早朝緊急会見というのがあって、放送が突然中断、フィギュア放送がそのまま尻切れトンボで終わってしまったぁーーァ、ということがあり、そんなこんなで、私にとってこのスケート・カナダの「トゥーランドット」のフリー演技、見逃していて、良い出来だったとの評判だけに、一度見てみたかった幻の演技だったのであります。

この2003-4シーズンは、サーシャ・コーエン選手がグランプリ・シリーズ絶好調で、出場した4大会中3大会で優勝(グランプリファイナルだけ2位)、そんなコーエン選手とファイナルも含め4回すべて出場が重なったのが荒川選手。スケート・カナダではコーエン選手が優勝、荒川選手は2位でした。
当時の新聞でこの大会についての記事を読んだときのことをよく覚えてます。



2003年11月3日(月)の朝日新聞朝刊スポーツ欄から
決めた 連続ジャンプ
女王へ着々 という見出しの囲みの記事から一部

 敗れても、荒川が見せつけた。出だしの3-3回転連続ジャンプだ。「シーズン初めに成功したのは初めて」。跳べない首位コーエンは、手先の細かな表現で逃げ切るしかない。
 真の女王へ、荒川が成長を世界に示した。
 〔中略)この日も演技後半のシャンプで乱れはしたが持ちこたえ、GP自己最高の2位を射止めた。
 城田強化部長は、ただ絶賛した。「コーエンの低いジャンプとは違う。今季の世界選手権で勝つのは荒川だ、と言ってくれる人もいた」
 負ける理由が、荒川から消えようとしている。


この朝日新聞の記事の「今季の世界選手権で勝つのは荒川だ…」という箇所を読んだとき、コーエン選手もいるしミシェル・クワン選手だっているし「(優勝)それはないだろー」なんて思ったりもしましたが、結果は………………

5年近くたった今、初めて見ましたが、このスケート・カナダの演技は、今見てみると、その後の(シーズン最後の)世界選手権での優勝を決めた演技をなにか予兆するような雰囲気というか、気配なようなものが濃厚に漂っているような気がし、大爆発寸前の爆弾といった感じ…?来るぞ来るぞーっとこれからなんかとんでないことをやってくれるような………雰囲気。それに最近の穏やかで愛の人になったhappyなトゥーランドット姫に見慣れた目からみると、この頃のトゥーランドット姫は(もちろん演技面に限定しての話ですが)、特に前半の恐ろしい"なぞなぞ姫”の冷酷非情な面が目立っていて、その背後に姫の孤独な心境がもたらす悲哀がちらり見え隠れはするものの、ぞ~~~~~~っぶるぶるぶる、空から槍でも降らせそうな、そんな猛烈な勢いがありますね。

このトゥーランドット(第2期?)のプログラム、最初のルッツのコンビネーション・ジャンプに入る前のオープニングは、シンプルなんだけどドラマチック、緊迫感がみなぎっていて、いつみてもゾクゾクさせられますが、このスケート・カナダの3-3のコンビネーション・ジャンプがまた、ダイナミックで惚れ惚れするような出来栄えで壮観!まさしく世界選手権の前夜祭といった感じ。
でも演技見終わってなにかないと思ったら、例のあれ!でしたね。ふむふむなるほど。その時その時の演技で違いや良さを比較、発見するのもなかなか楽しいものです。

Shizuka Arakawa 2003 Skate Canada LP(youtube)



萌し(きざし)といえば、荒川さんの元コーチのタチアナ・タラソワさんのトリノ・オリンピック後のインタビュー(「クーリエ・ジャポン」という雑誌の翻訳記事で読んだのですが)で、「公式練習の時から、練習の調子具合からしてシィズゥカァがオリンピック優勝するのは目に見えてはっきりしていた」みたいなことを言っていて、「へぇ~」と思ったのですが、これ、アメリカのTV放送のオリンピック・レポートのビデオですが、これを見ると、練習の時から試合はもうすでに始まっていたということ、本番前、もうすでに荒川さんがその鮮烈な印象で周囲を圧倒していたことが、よく分かります。
オリンピック会場で彼女のアグレッシヴな3-3-3の連続ジャンプが見れるという意味でも、決戦前、興味深い映像記録。

Shizuka Arakawa 2006 Torino Olympic フリー演技の公式練習(youtube)
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by carthaginois | 2008-07-23 01:06 | スケーター

FOI2008プチレポート

太陽激しく照りつける7月上旬の暑い日曜日の午後、納涼夏のアイスショーにひんやり舌鼓を打ちました。

場所は新横浜スケート・センター。
会場を入ると、巨大な雪女に息吹きかけられたかのように、冷気がひゃ~~~~~と涼しい!
お化け屋敷やプール、屋上ビヤガーデンなんかも良いかもしれないけど、真夏にスケートリンク、この組み合わせは最強ですよ、、、、、なかなか乙なようで。。。。

というわけで、(私にとってはじめての)フレンズ・オン・アイス体験。
そこには、次はいったい何が出てくるんだろうとWaku-Wakuさせる、おもちゃ箱をひっかきまわすような楽しい狂騒が充満していました。

Friends on Iceホームページ

エンタテイナーぶりを存分に発揮したシェーリーン・ボーンさんのミュージカル雰囲気たっぷりの艶やかなパフォーマンス、チン・パン&ジャン・トン組による世界チャンピオンの貫禄あるダイナミックな演技、小塚崇彦選手のJazzスタンダードによる若竹のような伸びやかなショート・プログラムの演技、などなど、いろいろ個人的に印象に残ったところはありましたが、第1部の目玉として、オリジナルメンバー7人による群舞『オペラ座の怪人』というお楽しみ企画もありました。

スケート・りンクのど真ん中に、いったいどこから現れたのか、突如、大きなシャンデリアが出現。ちょっとした寸劇仕立てで、荒川静香さんと中野友加里選手の(ツインズ)クリスティーヌが、一緒に(つれ)イナバウアーしたり、怪人役の高橋大輔選手が2シーズン前のフリー演技の再現で、ストレートラインステップ見せてくれたりと、見所たっぷりでした。


[1925年製作の無声白黒映画『オペラの怪人』のカラーポスター]



でもなんといっても今回のショーの白眉は、2部冒頭の荒川静香さんによる、4曲メドレーかなぁと…。

そのびっくり仰天度の幅の、過剰なまでのとてつもなさと唐突さ、それをまた、こともなげに淡々と実行してしまうようなところが彼女の大きな魅力の一つかと(個人的に)思ってますが……またまたやられた!という感じで、呆気にとられてしまいました。

"シズカアラカワ”のコール、拍手とともに暗がりのリンクに彼女が登場。ドドドドんドんドんど♪パーラランパーララン♪パーァラァラン…賑やかなブラスの音と共に、パッとスポットライトが照らされると、黒カラスみたいな衣装の荒川嬢が「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」で踊りだす。のですが、演技が始まって1分かそこらも立たないうちに、えっ?何が起こったのだろう?事故?突然、音楽が止まってしまって、踊りも中断。でもこれは完全計画演出。(私、最初騙されてしまいました!)。

そしてそこからが、世界のShizukaの本領発揮で、凄かった。

彼女がちょこちょこっと衣装を調えると、会場に「memory」の甘く感傷的なメロディーが流れてきた。
メドレーの2曲目。ミュージカル『キャッツ』の珠玉のバラード。彼女が、トリノオリンピックの一つ前のシーズンに、インパクト過剰の猫衣装(シャム猫が憑依、まつ毛パッチリのお目目や爪が浮かびあがってる衣装)で滑っていた、懐かしいのエキシビション・ナンバー。

この「memory」の演技、(私にとって)本日のナンバー・ワン、深い感銘を受けました。
そこには空気からなにからなにまで全て会場を包み込む、圧倒的なまでの〝調和″が満ち溢れていた。


美しい……


知らず知らず、この世の表層の現実世界が一つめくれて、ノスタルジックな郷愁へと誘う異次元世界に足を踏み入れてしまったかのような…。あたりは深い幻想の森となり、霧が一面たちこめ、その中をまるで足が地についていないかのように、彼女が浮遊している。

彼女が風となってリンクを縦横に走り抜けると、形の見えないオルゴールの内部で、クルクル回転しはじめる円筒についたピンたちが、それぞれ純金の延べ板をはじき、そこから砂浜に打ち寄せる波音にも似た心地よいサウンドが、クリスタル・グラスからあふれでる煌くシャンパンの芳醇な泡立ちみたいに流れ出す。
そしてその泡は大気に溶け込み消え果てしまうのだけど、きらきらとした輝きの余韻だけは、確かな質感を伴ってそこに残され、その豊かな余韻に心潤される。

時がそこだけ止まってしまったかのよう…
まるで夢の中で経験したもののようにおぼろげな記憶。
「なんて美しい世界なんだろう…」
ポロポロと涙が自然と頬を伝ってきた。

Art on Ice 2005 猫衣装での「メモリー」 の演技の思い出(youtube)



やがて天空から宇宙船がヒューーーーーーーーゥと降下してくるように、傘型の大きな覆いが降りてきて、猫になった彼女がラスト、力尽きたかのようにスライディングして倒れこむと、その猫の姿を優しく庇護するように、その覆いがすっぽりと包み込み。するとそこはピカピカ光る魔法の自動変身装置、自動再生装置となって作動し、その中から、〝新ビーナス誕生"といった形で、生まれたてのbrand-newなイキの良いコケティッシュな女が飛び出してくる。
荒川嬢は先ほどまでの黒系の衣装から一転、純白の衣装でメドレー3曲目、ポップな「キャンディーマン」を。またまた違った軽い雰囲気でご馳走前のお口直し。



それから彼女はいったん舞台裏にひっこむのでしたが、ラスト・ナンバー「It's a beautiful day」のアラビアンな扇情的な前奏がはじまると、彼女に代わって、ブロンド髪もこ惑的なシェーリーン・ボーンさんが長く棚引く鮮明なブルーの布をもって妖艶に踊りだす…

いよいよメドレーも山場。「ある晴れた日に」をポップス調にアレンジした曲を使用した快作(傑作!)プログラムを、これを振付したボーン(師匠)と荒川嬢による、世界チャンピオン同士のめったに見られない豪華デュオで。
それぞれ持ち味違う大輪の華どうし、大看板の2人の華麗なる饗宴で、壮観!大迫力でした。まさに一期一会の演技合戦に圧倒され、観客の興奮熱狂のヴォルテージも最高潮の高まりを見せました。氷の上はとても熱い!

演技終了後、スタンディング・オーベションと鳴りやまぬ拍手の嵐に、ボーンさんも感極まったご様子、、、、、
とにかくオープニングから見事なエンディングまで、山あり谷あり興奮また興奮の連続で、至れり尽くせりですなぁ~壺しっかりおさえてますなぁ~!ということで、サムシング・ニュー、サムシング・グレイトな4曲メドレーでした。




このあと荒川嬢は2部の大トリとしても、新作をひっさげて登場。今度の新作は、ボーンさん振り付けによるマドンナの『フローズン』を使用したプログラムで、また新しい一面、可能性を見せてくれました。
♪ん~~~~んんんんん~~~~と、マドンナがハミングするところなどは、透き通るような彼女のスケートの個性とマッチしてグーで、清涼感がありますね。そしてカチャカチャカチャカチャ鳴らされる刺激的なリズム・セクションのざわめきをバックに、彼女がリンクを滑りぬけるとき、新鮮な心地よい感覚に浸されました。

Maddona ゛Frozen" (youtube)



このフレンズ・オン・アイスはちょっとした[荒川静香独演会]といった趣。
滑って引っ込んですぐ何事もなかったようにしゃべりだし、休憩時間にうぐいす嬢にまで変身、それからまたまた滑って着替えて滑ってしゃべって着替えて滑って…6回以上の衣装チェンジに数え切れないジャンプは全部完璧こなして、、、、そんな常人離れしたすさまじい体力に、実は裏で、パーツをとっかえひっかえ交換しながら、ノズルでガソリン飲み込んでエネルギー補給している人造人間なんじゃないか?とそんな可笑しな想像までさせてしまうような鉄人ぶりでしたが…そんな彼女だからこそ、ファンにとっては(私はファンではありませんが)このような涙ちょちょぎれるショーが実現出来てしまうんでしょうね。 

スケーター全員総出場のエンディングもミュージカルの一幕のようでお洒落でスタイリッシュ、拍手に応えてのカーテンコールも、ちょっとしたキュートなドタバタ恋愛コメディー仕立てで楽しかった。
その中心に君臨した、荒川静香はん、この賑やかパーティーの見事なホストぶりで、ミュージカル・コメディーのヒロインの魅力を存分に放っていた、と見ました。


☆   ☆    ☆     ☆    ☆    ☆    ☆   ☆   ☆   ☆   ☆

当日券を買う列に並んでいたとき、通りすがりの、手ぬぐいひっさげ銭湯帰りのような小太りのおじさんが、「なんだ今日は(スケート場(一般公開))やってないのか!!(チェッ!)」と一言、捨て台詞残して去っていって、どう見てもスケート滑りにきたようには見えなくて、ちょっとミステリーだったのだけど、これを書いていて、"嗚呼あのおじさんは涼みに来た”んじゃなかろうかと気づいて、なかなか粋な小父さんじゃなかろうかと、、、、、、、、、????
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by carthaginois | 2008-07-13 10:16 | スケート・ショー