フィギュアスケートを外野から楽しむ&応援するための会


by carthaginois

FOI2008プチレポート

太陽激しく照りつける7月上旬の暑い日曜日の午後、納涼夏のアイスショーにひんやり舌鼓を打ちました。

場所は新横浜スケート・センター。
会場を入ると、巨大な雪女に息吹きかけられたかのように、冷気がひゃ~~~~~と涼しい!
お化け屋敷やプール、屋上ビヤガーデンなんかも良いかもしれないけど、真夏にスケートリンク、この組み合わせは最強ですよ、、、、、なかなか乙なようで。。。。

というわけで、(私にとってはじめての)フレンズ・オン・アイス体験。
そこには、次はいったい何が出てくるんだろうとWaku-Wakuさせる、おもちゃ箱をひっかきまわすような楽しい狂騒が充満していました。

Friends on Iceホームページ

エンタテイナーぶりを存分に発揮したシェーリーン・ボーンさんのミュージカル雰囲気たっぷりの艶やかなパフォーマンス、チン・パン&ジャン・トン組による世界チャンピオンの貫禄あるダイナミックな演技、小塚崇彦選手のJazzスタンダードによる若竹のような伸びやかなショート・プログラムの演技、などなど、いろいろ個人的に印象に残ったところはありましたが、第1部の目玉として、オリジナルメンバー7人による群舞『オペラ座の怪人』というお楽しみ企画もありました。

スケート・りンクのど真ん中に、いったいどこから現れたのか、突如、大きなシャンデリアが出現。ちょっとした寸劇仕立てで、荒川静香さんと中野友加里選手の(ツインズ)クリスティーヌが、一緒に(つれ)イナバウアーしたり、怪人役の高橋大輔選手が2シーズン前のフリー演技の再現で、ストレートラインステップ見せてくれたりと、見所たっぷりでした。


[1925年製作の無声白黒映画『オペラの怪人』のカラーポスター]



でもなんといっても今回のショーの白眉は、2部冒頭の荒川静香さんによる、4曲メドレーかなぁと…。

そのびっくり仰天度の幅の、過剰なまでのとてつもなさと唐突さ、それをまた、こともなげに淡々と実行してしまうようなところが彼女の大きな魅力の一つかと(個人的に)思ってますが……またまたやられた!という感じで、呆気にとられてしまいました。

"シズカアラカワ”のコール、拍手とともに暗がりのリンクに彼女が登場。ドドドドんドんドんど♪パーラランパーララン♪パーァラァラン…賑やかなブラスの音と共に、パッとスポットライトが照らされると、黒カラスみたいな衣装の荒川嬢が「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」で踊りだす。のですが、演技が始まって1分かそこらも立たないうちに、えっ?何が起こったのだろう?事故?突然、音楽が止まってしまって、踊りも中断。でもこれは完全計画演出。(私、最初騙されてしまいました!)。

そしてそこからが、世界のShizukaの本領発揮で、凄かった。

彼女がちょこちょこっと衣装を調えると、会場に「memory」の甘く感傷的なメロディーが流れてきた。
メドレーの2曲目。ミュージカル『キャッツ』の珠玉のバラード。彼女が、トリノオリンピックの一つ前のシーズンに、インパクト過剰の猫衣装(シャム猫が憑依、まつ毛パッチリのお目目や爪が浮かびあがってる衣装)で滑っていた、懐かしいのエキシビション・ナンバー。

この「memory」の演技、(私にとって)本日のナンバー・ワン、深い感銘を受けました。
そこには空気からなにからなにまで全て会場を包み込む、圧倒的なまでの〝調和″が満ち溢れていた。


美しい……


知らず知らず、この世の表層の現実世界が一つめくれて、ノスタルジックな郷愁へと誘う異次元世界に足を踏み入れてしまったかのような…。あたりは深い幻想の森となり、霧が一面たちこめ、その中をまるで足が地についていないかのように、彼女が浮遊している。

彼女が風となってリンクを縦横に走り抜けると、形の見えないオルゴールの内部で、クルクル回転しはじめる円筒についたピンたちが、それぞれ純金の延べ板をはじき、そこから砂浜に打ち寄せる波音にも似た心地よいサウンドが、クリスタル・グラスからあふれでる煌くシャンパンの芳醇な泡立ちみたいに流れ出す。
そしてその泡は大気に溶け込み消え果てしまうのだけど、きらきらとした輝きの余韻だけは、確かな質感を伴ってそこに残され、その豊かな余韻に心潤される。

時がそこだけ止まってしまったかのよう…
まるで夢の中で経験したもののようにおぼろげな記憶。
「なんて美しい世界なんだろう…」
ポロポロと涙が自然と頬を伝ってきた。

Art on Ice 2005 猫衣装での「メモリー」 の演技の思い出(youtube)



やがて天空から宇宙船がヒューーーーーーーーゥと降下してくるように、傘型の大きな覆いが降りてきて、猫になった彼女がラスト、力尽きたかのようにスライディングして倒れこむと、その猫の姿を優しく庇護するように、その覆いがすっぽりと包み込み。するとそこはピカピカ光る魔法の自動変身装置、自動再生装置となって作動し、その中から、〝新ビーナス誕生"といった形で、生まれたてのbrand-newなイキの良いコケティッシュな女が飛び出してくる。
荒川嬢は先ほどまでの黒系の衣装から一転、純白の衣装でメドレー3曲目、ポップな「キャンディーマン」を。またまた違った軽い雰囲気でご馳走前のお口直し。



それから彼女はいったん舞台裏にひっこむのでしたが、ラスト・ナンバー「It's a beautiful day」のアラビアンな扇情的な前奏がはじまると、彼女に代わって、ブロンド髪もこ惑的なシェーリーン・ボーンさんが長く棚引く鮮明なブルーの布をもって妖艶に踊りだす…

いよいよメドレーも山場。「ある晴れた日に」をポップス調にアレンジした曲を使用した快作(傑作!)プログラムを、これを振付したボーン(師匠)と荒川嬢による、世界チャンピオン同士のめったに見られない豪華デュオで。
それぞれ持ち味違う大輪の華どうし、大看板の2人の華麗なる饗宴で、壮観!大迫力でした。まさに一期一会の演技合戦に圧倒され、観客の興奮熱狂のヴォルテージも最高潮の高まりを見せました。氷の上はとても熱い!

演技終了後、スタンディング・オーベションと鳴りやまぬ拍手の嵐に、ボーンさんも感極まったご様子、、、、、
とにかくオープニングから見事なエンディングまで、山あり谷あり興奮また興奮の連続で、至れり尽くせりですなぁ~壺しっかりおさえてますなぁ~!ということで、サムシング・ニュー、サムシング・グレイトな4曲メドレーでした。




このあと荒川嬢は2部の大トリとしても、新作をひっさげて登場。今度の新作は、ボーンさん振り付けによるマドンナの『フローズン』を使用したプログラムで、また新しい一面、可能性を見せてくれました。
♪ん~~~~んんんんん~~~~と、マドンナがハミングするところなどは、透き通るような彼女のスケートの個性とマッチしてグーで、清涼感がありますね。そしてカチャカチャカチャカチャ鳴らされる刺激的なリズム・セクションのざわめきをバックに、彼女がリンクを滑りぬけるとき、新鮮な心地よい感覚に浸されました。

Maddona ゛Frozen" (youtube)



このフレンズ・オン・アイスはちょっとした[荒川静香独演会]といった趣。
滑って引っ込んですぐ何事もなかったようにしゃべりだし、休憩時間にうぐいす嬢にまで変身、それからまたまた滑って着替えて滑ってしゃべって着替えて滑って…6回以上の衣装チェンジに数え切れないジャンプは全部完璧こなして、、、、そんな常人離れしたすさまじい体力に、実は裏で、パーツをとっかえひっかえ交換しながら、ノズルでガソリン飲み込んでエネルギー補給している人造人間なんじゃないか?とそんな可笑しな想像までさせてしまうような鉄人ぶりでしたが…そんな彼女だからこそ、ファンにとっては(私はファンではありませんが)このような涙ちょちょぎれるショーが実現出来てしまうんでしょうね。 

スケーター全員総出場のエンディングもミュージカルの一幕のようでお洒落でスタイリッシュ、拍手に応えてのカーテンコールも、ちょっとしたキュートなドタバタ恋愛コメディー仕立てで楽しかった。
その中心に君臨した、荒川静香はん、この賑やかパーティーの見事なホストぶりで、ミュージカル・コメディーのヒロインの魅力を存分に放っていた、と見ました。


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当日券を買う列に並んでいたとき、通りすがりの、手ぬぐいひっさげ銭湯帰りのような小太りのおじさんが、「なんだ今日は(スケート場(一般公開))やってないのか!!(チェッ!)」と一言、捨て台詞残して去っていって、どう見てもスケート滑りにきたようには見えなくて、ちょっとミステリーだったのだけど、これを書いていて、"嗚呼あのおじさんは涼みに来た”んじゃなかろうかと気づいて、なかなか粋な小父さんじゃなかろうかと、、、、、、、、、????
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# by carthaginois | 2008-07-13 10:16 | スケート・ショー
先週末、横浜美術館で行われた(脳科学者の)茂木健一郎さんの講演がエネルギッシュでとても面白かったです。


講演の中で特に印象に残ったのが、本物のアーティストと呼ばれるような人はみんな、強烈な゛毒”を持つのを感じさせる、という話。そういうアーティストは、体内に凶暴なモンスター、怪物を一匹飼っているのだが、その゛毒”、怪物性をそのままネガティヴな形のまま放出するのではなく、世にも美しい形に転化させて世間に送り出す、白魔術の使い手だ……みたいな話をされていて、なるほどと思いますた。
〔参考までに)茂木健一郎さんがブログで公開している講演会の音声ファイル

茂木さんの著書の中でも、否定的な感情のエネルギーを、肯定的な感情に変える「魂の錬金術」ということに言及されていて、「人間は変わることができる。ネガティヴな感情のエネルギーを、世界を肯定する意志へと転換することができる」とおっしゃっていて、また、「相手に対する恨みを晴らそうとしたり、あるいは自分の権勢欲を満足させるといったネガティヴな目的のために使われる魔法」を「黒魔術」、それに対して「愛の成就や、美しいものをつくり出すといったポジティヴな目的のために使われる魔法」を「白魔術」と分かり易く定義されている。(『それでも脳はたくらむ』(中公新書ラクレ)217-8ページ参照)

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浅田真央選手の帰国会見で、タチアナ・タラソワ女史がメインコーチに決まったことを発表されました。吉報ですね、まずはめでたし。。。。
タラソワ・コーチというと、若いときの写真とか見ると美人だったようですが、凄腕の魔女、もしくは獰猛な野獣といったイメージがあって、その存在感というかスケール感が、グラマーピンナップモデルが100人束になってもかなわない、強烈!ダイナマイトボンボンという感じで、まさしく茂木さん流に言えば猛゛毒"そのものといった感じ、、、、、、、

(タチアナ・タラソワさんの公式サイトより)



ときどき試合などの映像で、選手の演技を見つめるコーチの表情など流すことがあるけれど、そういう際のタラソワ・コーチの目、まさに獲物をにらむ爬虫類の目で、実に恐ろし~~~。
それとともに、大舞台で教える選手の演技がうまくいったときなどに見せる歓喜爆発といった姿も、日本人の感覚からいったらなんか規格外で圧倒される。
そういう激情を露にするタラソワ・コーチのお姿を、真央選手と一緒に見れるというのも一つ楽しみですが、真央選手が、彼女自身内面に持っているであろう毒と合わせて、タラソワ・コーチがもたらす猛毒を注入して、どうミックスして消化してゆき、そこから白魔術によって、今までよりさらに進化したさらに美しいものを創り出してゆき、どのよう規格外の驚きと感動、新しい感覚をもたらすか…そしてそこから世界にどのような影響を与えてゆき変えてゆくかということが、これからフィギュア・スケートを鑑賞していく上での(個人的に)一つ大きな柱かなぁと、興味津々です。

黄金コンビ蜜月の始まりか?真央vsタラソワ コラボレーション最初の記念すべき魔法の成果
Mao Asada SP 2008 Worlds" (youtube)






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魔法とロシアつながりついでに…
こちらはロシア20世紀文学の金字塔といわれる、ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』。
悪魔ヴォランド率いる、邪悪なとっても怪しい一味がモスクワの町で大暴れし、(こちらは)黒魔術を使って人々を混乱の極みに陥れる。奇想天外な空前絶後のマジック・ショー、二本足で歩いて喋るでっぷりふとった大猫や、ほうきに乗って空飛ぶ若く美しい魔女も出現……と、とっても賑やか。
文学全集の中の一巻としてこの春出版された全面改訳版が、読みやすく、600ページ近い大作ですが、おもろい小説読んだわいという重みある満足感を与えてくれる小説で、おすすめです。

巨匠とマルガリータ (世界文学全集 1-5)
ミハイル・A・ブルガーコフ / / 河出書房新社

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# by carthaginois | 2008-06-27 00:08 | スケーター
織田信成選手に続いて、村主章枝選手もニコライ・モロゾフ氏にコーチ変更との驚きももの木のニュースが流れましたが、モロゾフはん、トリノ以来コーチとしても大もてで、日本のお茶の間にもすっかりお馴染みの顔に……………忙しそうですね。

さてこちらはモロゾフはんのプライベート上の元パートナー、シェーリーン・ボーンさん。

アイスダンスの2003年世界チャンピオン、その後プロになってからはソロで活躍、また振付師としても良い仕事しているようですが、エンターテイナーとして、ゴージャス感ある大人の女性の存在感が、氷上に映えますね。たんと魅せてくれます。
ここで紹介する演技は2005年、ちょっと前のですが、タンゴのリズムに乗って、彼女と一緒に椅子もすべ~ぇ~~るすべるで、まるで自由自在にものを操るマジシャンのよう…。ということで、"氷上の魔法使いたち"と銘打ったこのシリーズ企画(ちょっと大げさですが)のようなもんに、ぴったしということで、ご登場願いました。
Shae-Lynn Bourne "La Cumprasita" (youtube)




マジシャンといえば、現在公開中の『幻影師アイゼンハイム』という、19世紀末のウィーンが舞台の魔術師が主人公の映画。まだ見ていないのですが、気になる映画……
映画『幻影師アイザンハイム』公式サイト


最近、この映画の原作者スティーヴン・ミルハウザーの短編集『ナイフ投げ師』を、そのお茶目な表紙とタイトルがひっかかって読んでみましたが、魔法のような12の短編と銘打つこの作品集、遊園地、デパート、劇場、地下迷路、真夜中の森、空飛ぶ絨毯、気球……などが主舞台で、どっでも怪じい世界に、ぞれぞれ凝りにごっだ細がい仕がげがぎっじり詰めごまれでいで、ちょっど読みづらいあるが、訳者解説によると、「ミルハウザーを好きになることは、吸血鬼に噛まれることに似ていて、いったん魔法に感染してしまったら、健康を取り戻すことは不可能に近い」んだぞうで、確かにこの作家、はまる人ははまる、濃厚でディープなお味が、なんとも乙ですた。

ナイフ投げ師
スティーヴン・ミルハウザー / / 白水社
(ちなみに映画の原作『幻影師、アイゼンハイム』は別の短編集『バーナーム博物館』の中に)




ちょっと脱線しましたが、シェーリーン・ボーンさん、昨年のXOIクリスマス・オン・アイスに続いて、もうすぐ日本でその演技が見れるということで、今度は7月上旬のFOI。どんな氷上マジックを披露してくれるでしょうか、こちらも気になります。。。ということで、乙な真夏のアイスショー、FOI、フェアリーズ・オン・アイスといったムードのホームページはこちら↓
フレンズ・オン・アイス

今年で3年目だというこのアイスショー、ちょっと物珍しい輩たちが例年参加してますが、今年は、トリノ・オリンピック銀メダルのアイスダンスカップル、ベルビン&アゴストが面白そう。
昨シーズン滑ってきたこのエキシビション・ナンバー、2人の息もぴったりの弾けた、なんともホットな演技ですが、日本のスケート・シーンで、このカップルの演技が見れるというのは、なんかレア感あります。↓
Tanith Belbin and Ben Agosto"Sexy back & My love" (youtube)

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# by carthaginois | 2008-06-17 00:08 | スケート・ショー